Naughty Tots!

「ギヴァー　記憶を注ぐ者」

2014年アメリカ&南アフリカ＆カナダ映画、原題も同じく"The Giver"です。

原作は、1994年にニューベリー賞を受賞した児童文学者ロイス・ローリーの同名人気

小説です。

アメリカでPG-13指定、日本ではGです。

ギヴァー　記憶を注ぐ者【Blu-ray】 [ メリル・ストリープ ] 価格：3,908円（税込、送料込）

あらすじ

近未来の地球。荒廃後の灰の中から再建された壁に囲まれ差異のない社会「コミュニ

ティ」で暮らす人々には戦争も痛みも苦しみとも無縁で、過去の記憶もいっさいなく、

苗字は誰も持たず、色もありません。

コミュニティには誰もが守らねばならない厳しいルールがあり、毎朝必ず投薬を受ける、

嘘をついてはならない、必ず指定服を着用し、厳しい行動制限を受けながら生活してい

ますが、生まれた時からそれが当たり前のため、人々はその社会の中で平和な生活を

享受しています。

ジョナス(ブレントン・スウェイツ)は、養育センターで働く父(アレクサンダー・スカ

ルスガルド)、司法省で働く母(ケイティ・ホームズ)、妹のリリー(エマ・トレンブリー)

との家族ユニット(実の家族ではなさそう)で暮らしています。

ジョナス、幼馴染の親友フィオナ(オデヤ・ラッシュ)とアッシャー(キャメロン・モナ

ハン)は、職業任命の儀式を受け、長老委員会の主席長老(メリル・ストリープ)から、

フィオナは(生産母が生んだ赤ちゃんたちの)養育係に、アッシャーは(無人機の)パイロット

に、そしてジョナスは皆が持つことを許されない過去の記憶を一人で受け継ぐ大役レシー

ヴァー(記憶の器)という役目を言いつかりました。

翌朝早速、ジョナスは昔子供の頃にフィオナたちとこっそり行って見たことがある、コミュ

ニティの端(エッジ)にある現在のレシーヴァーが暮らす館に向かいます。

中には他の者は見たこともないたくさんの書籍などがあり、自らを「ギヴァー」と名乗る

老人(ジェフ・ブリッジス)が待っていました。

次のレシーヴァーに選ばれたジョナスには、これまでの全世界の記憶を受け継いでもらい、

将来的に委員会に助言が行える存在になってもらいたいといいます。

すると、ギヴァーはジョナスの両腕をつかみ伝達を始めます。

モノクロの世界しか知らなかったジョナスは初めて赤という色を認識し、徐々に他の色も

見え始めました。

天候まで管理され雨や雪など降らない「コミュニティ」には存在しない雪に覆われた森の

中をそりで駆け抜ける爽快な記憶を体感したジョナスは、その爽快感をフィオナやアッシャ

ーと共有したい気持ちに駆られ、訓練の内容を他の誰にも漏らしてはならないという決まりを

破って、歩道橋の上からトレイに乗ってフィオナと駆けおります。

アッシャーは歩道でそのようなことをしてはいけないという行動規範から外れるのを恐れ

一緒に駆けおりませんでした。

その様子は監視カメラによりすぐさま主席長老に報告され、ギヴァーはジョナスのことを

大目にみてやってほしいと主席長老に頼みに行きます。

養育係の父は発育不全の赤ちゃんガブリエルことゲイブを自宅に連れ帰ります。

夜泣きが止まらないゲイブの腕に、自分と同じあざを見つけたジョナスは、ゲイブの腕を

取り、楽しい記憶を伝えあやします。

過去の記憶の学習には、コミュニティにはないピアノの演奏やダンス映像などもあり、

ジョナスはその感動を帰宅後リリーに歌ったり踊ってみせ、両親とりわけ母は怪訝そうに

見つめます。すぐに首席長老のホログラムが現れ、ジョナスは注意を受けます。

なぜ楽しい歌やダンスまで人々から排除しようとするのか、内心納得がいかないジョナス。

毎朝の投薬を密かに逃れ続けるジョナスは、夢を見たり、回りの豊かな色彩そのままに見る

ことができるようになり、フィオナにも同じように色彩のある現実の世界を見せてあげたい

と投薬をこっそりとやめるように伝えます。

ギヴァーは記憶(歴史)は決して楽しいものばかりではないが、辛い記憶の伝達はまだ早いから

とジョナスに見せることを渋っていましたが、ある日の朝、苦しんで倒れていたギヴァーの腕

を取ったジョナスは、ギヴァーが見ていたジャングルでの悲惨な戦闘の記憶をみてしまいます。

記憶の中だけではなく、コミュニティにも実は知られざる恐ろしい現実があることをギヴァー

に知らされたジョナスは…。

私の感想

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てっきり人気の「ダイバージェント」シリーズのような作品なのかなあと思いつつ、期待せず

に見てみることにしました。

本原作の映画化は、ギヴァー役を演じているジェフ・ブリッジスが本来20年前に、自分の実の

父と甥にギヴァー役とジョナス役を演じさせて撮影するつもりでいたのだそうです。

1993年に発表され1995年に出版された原作の翻訳版『ザ・ギバー　記憶を伝える者』は絶版に

なったものの、愛読者有志のグループ「『ギヴァー』を全国の読者に届ける会」の活動により

2010年に新訳版『ギヴァー　記憶を注ぐ者』の出版にこぎ着けたのだそうです。

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飢餓も犯罪も異常気象(雪すら降らない)も戦争とももちろん無縁な「コミュニティ」で、人々

は安全安心に暮らしていますが、混乱を招かないように自由や個性が一切認められず、行動や

発言はもちろんのこと全てが厳しい制約を受け監視されている社会でした。

それまで何ら疑問を感じることのなかったジョナスは、「コミュニティ」の重荷を一人で背負

う大役を仰せつかりその訓練を受けて初めて、自分達が暮らす社会の現実を知ることになります。

爽やかなジョナス役を演じていたブラントン・スウェイツは、以前ご紹介した「シグナル」に

出ていた若手俳優ですね。

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相手役のオデヤ・ラッシュはイスラエル人若手女優だそうです。

意外な人が1人出ていました。黒髪だったので、すぐに気付かなかったのですが、ローズマリー

役を演じていたのは、テイラー・スイフトでした。ピアノを弾いていました。

髪の色が違うだけで、随分と印象が変わるものですね。

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ジョナスの両親を演じていたのは、以前「ザ・イースト」や「メイジ―の瞳」に出ていた

スウェーデン人俳優(ステラン・スカルスガルドの息子)のアレクサンダー・スカルスガルドと

トム・クルーズの元妻ケイティ・ホームズです。

主席長老役を演じたメリル・ストリープは長い白髪頭でめっきり老けて見えました。

原作には3部作を成す小説があと2作あるのだそうです。

砂漠を抜け、雪山を越えてなお歩き続けるジョナスの挑戦がどのような成果につながるのか

気になったので、是非続編を作ってみせてほしいものです。

それも早いうちに。(￣∇￣;)

本作で使われていた曲で、One Republicの"Ordinary Human"と"I Lived"もなかなか素敵

でした。


☆☆☆

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