『ナバホ・女の子の成人式』
初笑いの次の節目は成人式で、男の子は声変わり、女の子は初潮を迎えると成人と見なされるようだ。女の子の成人式は、キナアルダ(kinaalda)と呼ばれ、一時は衰退していたが、最近盛んになってきているそうだ。キナアルダは、聖女ホワイト・シェル・ウーマンが初潮を迎えた時に、それを太陽に伝えるために行ったのが始まりだ。女の子はこのホワイト・シェル・ウーマンを真似た特別の衣装を身にまとい、ホーガンの中で髪を首のあたりで、鹿のバックスキンで結んでもらう。このとき、額の前に髪の一部を垂らしておき、儀式の間これを掻き上げてはいけない。この垂らした髪は、大人になって出くわす様々な困難を象徴し、掻き上げないことで、それに耐えられることを周囲の人に示すのだそうだ。メディスン・マンの歌にあわせて家族が歌い、それが終わると少女は横になり、母親が「健康で美しい女になるように」と祈りながら娘の体をもむ。そして今度は、娘が参加者たちを、その聖なる手でさわることで祝福していく。それが終わると、少女は外に出て東に向かって全速力で走る。これをファースト・ランという。戻ってきたら、トウモロコシの粉・小麦粉・ベーキングパウダーを混ぜたものを、ホーガンの中にある穴で焼く。この大きなケーキを焼くには時間がかかる。夜中に火を絶やさないように、火の面倒を見る人が必要になる。そしてメディスン・マンは、精霊ひとりひとりに少女を紹介する歌を一晩中歌い続ける。少女は静かに座り続け、家族はメディスン・マンを介助する。そして夜明けが近づくと、女の子は再び東に向かって走り、日の出の太陽と挨拶をかわす。どちらのランニングも、他の人がついて走ると祝福が受けられるということだ。もちろん、少女より先に走ってはいけない。このセカンド・ランが終わると、ケーキを切り分け、少女が参加者ひとりひとりに手渡し、その後は宴会となる。大量のとうもろこしの粉を挽くところから始めるこの儀式は、昔は5日間にも及んでいたそうだが、今は学校が休みになる2日で終わるようにしているところが多いようだ。 (風の民参照)この女の子の成人式は、ネイティブアメリカンの中でも、アパッチ族のようにひとりでティピに寝泊まりするもの、ヌートカ族のようにひとり海の中の島に取り残され、岸まで自力で泳ぎ帰らなくてはならないものなど、儀式の形は様々だ。またお赤飯を炊いて祝う日本、同族の女達が歌を歌い、女性の力(female power)と身体が変化し女になったのだということを少女に教える儀式をするオーストラリアのアボリジニーなど、様々な文化で形は異なるけれど、初潮は大きな節目として祝われている。よかったら クリックしてくださいね! ↓ ↓トップページへナバホリザベーションの様子は、画面左側「カテゴリ」「ナバホワークキャンプ 2004年」からご覧下さい。