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2009.02.14
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 昔話の『鶴の恩返し』と同じような実話が、日本海に面する但馬国香住町の『大乗寺』に残されていました。絵画黄金期の江戸時代にあって、絵師『円山応挙』が貧しい修行時代に住職に才能を見込まれ学費援助を受け、名を挙げ功を遂げた晩年に大乗寺客殿建設に当たって、門弟12人を引き連れ障壁画165画(全て国指定重要文化財、応挙作38画?)を描いたというお話です。
現在、障壁画のデジタルデータ化が進められ、今春にはレプリカ展示予定のため早めの見学を。
そこで今回は、大乗寺=別名応挙寺に残る円山応挙と門弟が描く障壁画を中心にご案内です。
大乗寺立地案内図
  志賀直哉の小説『城崎にて』で知られる城崎温泉から車で約40分、周囲には何も無い寒村? に大乗寺はありました。氏の『暗夜行路』にも大乗寺が登場する西国薬師霊場28番札所、行基菩薩が刻んだ聖観世音菩薩立像を祀っり745年の創建ですが、戦乱で一時衰退し江戸安永年間に伽藍を再建完成、その時に客殿の建設も行われここに障壁画が描かれたという訳です。
大乗寺の参道階段 大乗寺客殿 大乗寺客殿入口
唐破風の客殿正面には、帯名(源氏性)を許された応挙坐像が出迎えてくれます。
客殿内は係員のガイド付き、偶然、元鳥取大教授の老夫妻と一緒の見学になりました。
客殿入口から境内を望んで
  円山応挙作品は、四国金毘羅さんの書院障壁画『絵本墨画遊虎図』や『竹林七賢者図』など(90画程あり)を見た程度でしたが、大乗寺には応挙画が38画程残され展示されていました。
金箔地に薄墨で描かれた障壁画は、わずかな陽を拾い集め照り返して浮き出させる技法になり、応挙晩年の最高傑作の仕事といわれています。
孔雀之間(老松孔雀図) 孔雀之間(老松孔雀図)
 客殿中心の仏間に十一面観世音菩薩立像、それを取り囲むように13の部屋の空間に立体曼荼羅(仏の世界)を絵で具現化、そんな全体構想を応挙自身が行いながら『孔雀の間』『芭蕉の間』『山水の間』の3室を描いています。孔雀の間には松の老巨樹と3羽の孔雀が描かれ、照明を消し座って視線を投げ掛けると、自然光を受けた孔雀が浮かび上がり実在感が伝わって来ます。
この『松に孔雀画』を製作中に、京都天明の大火で焼失するというアクシデントがありましたが、でも眼病に悩まされながらも最晩年に再び描き完成させた作品になります。
本尊(十一面観世音菩薩立像) 孔雀之間を開け仏間を覗く ご朱印
  『孔雀の間』の老松と孔雀の襖を開けると仏間が、中の国重文『十一面観世音立像』を取り囲むように、仏を守る四天王に見立てた絵が、客殿四隅の部屋に配された立体曼荼羅構図です。
農業の間(持国天=生産)、芭蕉の間(増長天=政治)、山水の間(広目天=文化・芸術)、仙人の間(多聞天=生命・医薬)達になります。孔雀は十一面観世音の頂上仏の化仏で、阿弥陀如来の象徴になりますが、その見学は叶いませんでした。
芭蕉の間
芭蕉の間には、手招き好々爺の『郭子儀図』が描かれています。
余談ですが芭蕉は松尾芭蕉の名前にもなり、幹は沖縄名産の芭蕉布の原料になります。
芭蕉の間から隣の孔雀之間を望んで 芭蕉の間から隣の山水之間を望んで
芭蕉の間の襖を開けると、隣の孔雀の間とか山水の間が覗けます。
芭蕉の間(童が芭蕉に悪戯?)
  孔雀の間から山水の間に繋がる芭蕉の間、郭子儀図が描かれていますが驚いたことに二次元の絵が三次元に見えてしまうことでした。芭蕉に悪戯書き?している童の視線、小生が移動しても童の目は追って来るのです。いつも小生を見つめ追っかけて来ます・・・不思議、不思議です。
そういえば息子や門弟達が描いた絵でも見る位置によって、犬が寄って来たり逃げてみたり、或いは、鯉が太って見えたり細って見えたり・・・と、騙し絵的で不思議な気分でした。
山水之間 山水之間 山水之間
  紙本金地墨画の『山水図』は、最も格式が高い自然と一体化した絵といわれています。
最も長い壁画には、日本海を想定した海岸線に外海と内海を描き、下座から上座へ向かって陸地が見渡せるように配しています。床の間には岩山が、そして違い棚にまで絵は書き込んでいて、廊下側からの見る位置で立体感あふれるせり出した壁画になる工夫が凝らされています。
初めは狩野派に学び、その後中国の遠近法を学んで写生に専念したり、西欧の陰影表現も取り入れたりと、独自の新しい画風を完成させた絵師円山応挙の面目躍如たる絵になっています。
猿之間 猿之間
  非公開になっていますが門弟の長澤芦雪作『群猿図』、何か人間社会を風刺した、現在の世相に通じる偽悪的な表現絵に納得し紹介です。岩山を登って来る先頭の猿の尻尾には布で包んだご馳走が、それにあやかろうと付いて来る卑しい猿達。そして岩山の小猿を抱えた夫婦猿、何食わぬ顔で手と足でジャンケンをして嫁の勝ちになっています(嫁の手はパー、足はグー)。
餘部鉄橋 餘部鉄橋
  興が乗り予定を大部オーバーした大乗寺見学、一目散に近くの餘部鉄橋へ向かいます。
事前に時刻表で列車通過を調べていたので、間一髪間に合いました。危険回避なのか観光のためなのか橋に差し掛かると列車はゆっくりと走行。日本海に面し鉄橋の両側は山で風の通り道、現在はコンクリート橋への架け替え工事中で、こういった風景も後僅かの時間になりそうです。
次回は四国伊予国、宇和島市の伊予伊達藩を中心に市内散策を予定しています





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最終更新日  2009.02.14 07:02:29
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