カテゴリ:オレとボク
今日の日記(「BOSS」「夫婦道」に見る女性の美しさ♪と、ちょっと夫に言えない話☆)
「アイツとボク30」 「よおアオヤン?今いい?」 「ちょうど今昼休みだよ。どしたの?」 「夜空いてるようなら、飲みにいかねー?」 最近、赤木くんが飲みに誘ってくるのは、珍しくない。 またか~と思った。 「いいよ。今日なら8時に終わる。 いつもの店でいい?」 「よっしゃ!じゃあ、オレ先に行ってるわ。 じゃあ、店でな~!」 携帯が切れた。 前は何とも思わなかったけど、 こう頻繁だと何だか気になる。 アイツはサキちゃんと一体どうなってるんだろう? ボクはちょっと心配になる。 まあ、ボクと違って、何とか一人で解決しちゃうんだろうけど…。 店に行くと赤木くんがカウンターで飲んでた。 「お疲れ~。」 ボクが隣に座る。 「仕事はどうよ?」 「まあ、何とか慣れてきたかな~。 みんなボクの顔覚えてきてくれたしさ。 こないだは、東北まで日帰り出張だったから、流石にバテたよ。」 まずは仕事の話をお互い報告しあった。 もう、お互いがどんな仕事をしていて、 どんな人間関係なのか、ちょっとわかってたりする。 「そういえば、もう電話は競争しなくなった? プロの人より早く取れるようになったって言ってたじゃん。」 「ああ、アレかぁ~。 残念ながら、もう電話の仕事どころじゃなくなっちゃったよ。 でも、まだまだオレって使えないけどな。」 そう言ってから赤木くんは酒をグイッと飲んだ。 「そういえば、アオヤン、昔バイトで年上の女いいって言ってたよな。 覚えてるか?」 ボクは昔よりは少し飲めるようになった酒を チビチビ飲んでいたけど、ムセそうになった。 平気な顔して答える。 「よく覚えてるね、そんなこと。」 「いや、その電話のプロみたいな人がさ、やっぱり年上なんだけど、 すごいイイ人なんだよ。 あ、好きとかって言うんじゃないよ? いや、でも人として好きか…。 う~ん、今更アオヤンが言ってたことがわかったりしてさ。」 「え?そうなの? サキちゃんじゃなくて、そっちに気が行ってんじゃないの~?」 「そういうワケじゃないけどさ。 確かに、タイプだったりするんだけど、 結婚しててさ、その家庭を壊したいほど好きとかって言うんじゃないんだ。 なんつーか、 オレ、今、サキに待たされ状態じゃん? で、向こうもダンナに待たされ状態なんだよ。 それで、お互いの気持ちがちょっとわかっちゃったりするんだよな。 時々、フッと、 この人がサキだったら、待たせたりしないんだけどな…って思ったりする。」 赤木くんが、その人に惹かれ始めてる感じがした。 でも、赤木くんなら手を出したりしないんだろうな…。 何となくそんな気がした。 「赤木くん、その人と…してないよね?」 思ったことがつい口に出てしまう。 赤木くんはムセそうになっていた。 「ばっかオマエ、してねーよ! オレの話聞いてるかぁ~?」 「聞いてるよ。でも、今にも淋しくて寝ちゃいそうじゃん。」 「言うなよな~、そういうこと。 オレ、サキはサキでちゃんと好きなんだからさ~。」 赤木くんはガブガブと酒を飲み始めた。 「やっちゃったら、楽になれんのかな~。 アオヤンは、そんなこと全くしなそうだな。 オレのこと軽蔑したんじゃないか? オマエ、かわいがられそうだけど、人妻になんか、手出さないだろ~。」 ボクは酒を今度はグイッと飲んだ。 「そうでもないよ。寝たことあるし。」 もう時効かな… そう思った。 赤木くんが表情を止めてボクを見ている。 「さっき言ってた人と、寝ちゃったんだよ。 なりゆきでね。 半年くらいかな…。 付き合ってた。 楽しかったけど、結構、きつかったよ。 後ろめたくてさ。 ボクも軽蔑されるんじゃないかと思うと、言えなかった。」 「オマエ…マジで?」 「うん。」 ボクは、赤木くんの次の反応が怖かった。 やっちゃいけないことをしてたんだから…。 「オマエ… ヤルなぁ~!!!」 赤木くんは、よくやったとでも言わんばかりに、ボクの肩をバンバンたたいた。 「そうか…。 アオヤンがねぇ~。何だよ?大学んとき? うっわ。マジで? なんだよ~、タイムリーに話せよ~!」 赤木くんは楽しそうだった。 ボクはヘニャヘニャと力が抜けてしまった。 結構覚悟して言ったんだけどなぁ~。 と、同時に、もっと早く赤木くんに打ち明けてれば良かったと思った。 「ごめん、イグチくんには、話の流れから言っちゃってたんだけどさ…」 「何だよ、二人して、早く言えよ~。 まあ、いいよ。一人で抱え込んでなくて良かった。 イグチは何て言ってたんだよ?」 「忘れろって。 でも、つい付き合ってた。」 「イグチらしいな~!」 そう笑いながら赤木くんは言うと、ボクを見て驚いているのがわかった。 ボクは 涙が出ていたらしい。 「あ、ヤベ…。ごめん。」 自分でもビックリした。 あの頃の記憶が、さっきのことのように蘇ってしまったからだ。 もう、ボクにはカリナが側にいて、 フジサワさんのことは過去になっていたはずなのに、 あの頃、誰にも話せなくて、 イグチくんに言った後も、結局付き合っていて、 時々思い出すと、胸がしめつけられそうで…。 誰かにずっと… ずっと言いたかったのかもしれない。 苦しかったんだって。 ホントはどうしたらいいのかわからなくて、 ずっと苦しかったんだって。 「オレだって、寝るチャンスがあったら、寝てたかもしれないよ。 ただ、止められたってだけで。 でも、寝たくなる気持ちはわかる。 止められなかったんだろ?しょうがないじゃん。」 ボクは、頷いた。 「悪い…。さんきゅ。」 「終わらせたんだろ? オマエ、一人で対処したんだな。スゴイな。ほんと。」 肩をポンポンと赤木くんが叩く。 参ったな…。 また泣きそうだよ。 「で、赤木くんは、その人とは大丈夫なの? サキちゃんとは大丈夫なの?」 「ああ…うん。何とか大丈夫だよ。 こうして、一人の時は、アオヤンに付き合ってもらえるしな~。」 ボクは、自分の体制を立て直して、 おどけて言った。 「赤木くん、ボクが結婚しちゃったら、一人でご飯食べられる?大丈夫? そういう女の人に手出しちゃわない?」 「何だよ、もう結婚すんのかよ、カリナちゃんと。」 「まだしないけど、例えば…だよ!」 「今度さ、4人でどっか行かねぇ?カリナちゃんどうかな?」 「いいよ~!言っておくよ。 カリナ喜ぶよ。赤木くんのファンだからさ。 あ、言っとくけど、取るなよ!」 「取らねーよ。ばーか! オレにはサキがいるし、女より、オマエとの関係のが大事~!」 「マジかよ?!」 ボクらは笑いあった。 ねぇ、赤木くん。 あの時さ、 ボクは本当に感謝したんだよ。 オマエに出会えたこと。 一人で抱えなくて良かったって、 言ってくれたよね? 今だってずっと、その言葉はボクの中に残ってるよ。 軽蔑したりしないって言ってくれたこと。 オマエとの関係の方が大事って言ってくれたこと。 ずっと ずっと 忘れない。 続きを読む 前の話を読む 最初から読む 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年03月27日 16時32分36秒
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