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りらっくママの日々

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2009年05月15日
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カテゴリ:オレとボク
今日の日記(「BOSS」「夫婦道」に見る女性の美しさ♪と、ちょっと夫に言えない話☆)


「アイツとボク30」


「よおアオヤン?今いい?」

「ちょうど今昼休みだよ。どしたの?」

「夜空いてるようなら、飲みにいかねー?」

最近、赤木くんが飲みに誘ってくるのは、珍しくない。
またか~と思った。

「いいよ。今日なら8時に終わる。
いつもの店でいい?」

「よっしゃ!じゃあ、オレ先に行ってるわ。
じゃあ、店でな~!」

携帯が切れた。
前は何とも思わなかったけど、
こう頻繁だと何だか気になる。

アイツはサキちゃんと一体どうなってるんだろう?
ボクはちょっと心配になる。
まあ、ボクと違って、何とか一人で解決しちゃうんだろうけど…。


店に行くと赤木くんがカウンターで飲んでた。

「お疲れ~。」
ボクが隣に座る。

「仕事はどうよ?」

「まあ、何とか慣れてきたかな~。
みんなボクの顔覚えてきてくれたしさ。
こないだは、東北まで日帰り出張だったから、流石にバテたよ。」

まずは仕事の話をお互い報告しあった。
もう、お互いがどんな仕事をしていて、
どんな人間関係なのか、ちょっとわかってたりする。

「そういえば、もう電話は競争しなくなった?
プロの人より早く取れるようになったって言ってたじゃん。」

「ああ、アレかぁ~。
残念ながら、もう電話の仕事どころじゃなくなっちゃったよ。
でも、まだまだオレって使えないけどな。」

そう言ってから赤木くんは酒をグイッと飲んだ。

「そういえば、アオヤン、昔バイトで年上の女いいって言ってたよな。
覚えてるか?」

ボクは昔よりは少し飲めるようになった酒を
チビチビ飲んでいたけど、ムセそうになった。

平気な顔して答える。

「よく覚えてるね、そんなこと。」

「いや、その電話のプロみたいな人がさ、やっぱり年上なんだけど、
すごいイイ人なんだよ。
あ、好きとかって言うんじゃないよ?
いや、でも人として好きか…。
う~ん、今更アオヤンが言ってたことがわかったりしてさ。」

「え?そうなの?
サキちゃんじゃなくて、そっちに気が行ってんじゃないの~?」

「そういうワケじゃないけどさ。
確かに、タイプだったりするんだけど、
結婚しててさ、その家庭を壊したいほど好きとかって言うんじゃないんだ。
なんつーか、
オレ、今、サキに待たされ状態じゃん?
で、向こうもダンナに待たされ状態なんだよ。

それで、お互いの気持ちがちょっとわかっちゃったりするんだよな。
時々、フッと、
この人がサキだったら、待たせたりしないんだけどな…って思ったりする。」


赤木くんが、その人に惹かれ始めてる感じがした。
でも、赤木くんなら手を出したりしないんだろうな…。
何となくそんな気がした。

「赤木くん、その人と…してないよね?」
思ったことがつい口に出てしまう。

赤木くんはムセそうになっていた。
「ばっかオマエ、してねーよ!
オレの話聞いてるかぁ~?」

「聞いてるよ。でも、今にも淋しくて寝ちゃいそうじゃん。」

「言うなよな~、そういうこと。
オレ、サキはサキでちゃんと好きなんだからさ~。」

赤木くんはガブガブと酒を飲み始めた。

「やっちゃったら、楽になれんのかな~。
アオヤンは、そんなこと全くしなそうだな。
オレのこと軽蔑したんじゃないか?
オマエ、かわいがられそうだけど、人妻になんか、手出さないだろ~。」

ボクは酒を今度はグイッと飲んだ。

「そうでもないよ。寝たことあるし。」

もう時効かな…
そう思った。

赤木くんが表情を止めてボクを見ている。

「さっき言ってた人と、寝ちゃったんだよ。
なりゆきでね。
半年くらいかな…。
付き合ってた。

楽しかったけど、結構、きつかったよ。
後ろめたくてさ。
ボクも軽蔑されるんじゃないかと思うと、言えなかった。」

「オマエ…マジで?」
「うん。」

ボクは、赤木くんの次の反応が怖かった。
やっちゃいけないことをしてたんだから…。

「オマエ…

ヤルなぁ~!!!」

赤木くんは、よくやったとでも言わんばかりに、ボクの肩をバンバンたたいた。

「そうか…。
アオヤンがねぇ~。何だよ?大学んとき?
うっわ。マジで?
なんだよ~、タイムリーに話せよ~!」

赤木くんは楽しそうだった。
ボクはヘニャヘニャと力が抜けてしまった。
結構覚悟して言ったんだけどなぁ~。

と、同時に、もっと早く赤木くんに打ち明けてれば良かったと思った。

「ごめん、イグチくんには、話の流れから言っちゃってたんだけどさ…」

「何だよ、二人して、早く言えよ~。
まあ、いいよ。一人で抱え込んでなくて良かった。
イグチは何て言ってたんだよ?」

「忘れろって。
でも、つい付き合ってた。」

「イグチらしいな~!」

そう笑いながら赤木くんは言うと、ボクを見て驚いているのがわかった。
ボクは
涙が出ていたらしい。

「あ、ヤベ…。ごめん。」

自分でもビックリした。
あの頃の記憶が、さっきのことのように蘇ってしまったからだ。

もう、ボクにはカリナが側にいて、
フジサワさんのことは過去になっていたはずなのに、
あの頃、誰にも話せなくて、
イグチくんに言った後も、結局付き合っていて、
時々思い出すと、胸がしめつけられそうで…。

誰かにずっと…
ずっと言いたかったのかもしれない。

苦しかったんだって。
ホントはどうしたらいいのかわからなくて、
ずっと苦しかったんだって。


「オレだって、寝るチャンスがあったら、寝てたかもしれないよ。
ただ、止められたってだけで。
でも、寝たくなる気持ちはわかる。
止められなかったんだろ?しょうがないじゃん。」

ボクは、頷いた。

「悪い…。さんきゅ。」

「終わらせたんだろ?
オマエ、一人で対処したんだな。スゴイな。ほんと。」

肩をポンポンと赤木くんが叩く。
参ったな…。
また泣きそうだよ。

「で、赤木くんは、その人とは大丈夫なの?
サキちゃんとは大丈夫なの?」

「ああ…うん。何とか大丈夫だよ。
こうして、一人の時は、アオヤンに付き合ってもらえるしな~。」

ボクは、自分の体制を立て直して、
おどけて言った。

「赤木くん、ボクが結婚しちゃったら、一人でご飯食べられる?大丈夫?
そういう女の人に手出しちゃわない?」

「何だよ、もう結婚すんのかよ、カリナちゃんと。」

「まだしないけど、例えば…だよ!」

「今度さ、4人でどっか行かねぇ?カリナちゃんどうかな?」

「いいよ~!言っておくよ。
カリナ喜ぶよ。赤木くんのファンだからさ。
あ、言っとくけど、取るなよ!」

「取らねーよ。ばーか!
オレにはサキがいるし、女より、オマエとの関係のが大事~!」

「マジかよ?!」

ボクらは笑いあった。


ねぇ、赤木くん。

あの時さ、

ボクは本当に感謝したんだよ。

オマエに出会えたこと。

一人で抱えなくて良かったって、

言ってくれたよね?

今だってずっと、その言葉はボクの中に残ってるよ。

軽蔑したりしないって言ってくれたこと。

オマエとの関係の方が大事って言ってくれたこと。

ずっと

ずっと

忘れない。




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最終更新日  2010年03月27日 16時32分36秒
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