カテゴリ:本・読書
この本を読むきっかけは、今月4週に渡って放送された「100分de名著」という番組を見たからです。
乱読というか雑食というか本の選択が適当なので、この歳まで名著と呼ばれる本をあまり読んでいない。人生も後半になり、読んで来なかったということは大きな損をしていたのではないかと思い始めた。 「100分de名著」は、誰もが一度は読みたいと思いながらも、なかなか手に取ることができない古今東西の“名著”を、ゲストの講師がわかりやすく解説してくれて読み解くというもの。 アランとはペンネームで本名はエミール・シャルティエ。 1868年生まれ。 高校で哲学教師をしながら、町の新聞に「プロポ(哲学断章)」というコラムを持ち、毎日休まず書いていた。1906年から1914年までと、第一次世界大戦で従軍後、1921年から1936年まで。 生涯高校の教師をしながら約5000もの「プロポ」を書き続けていた。 ノーベル 賞学者などの多くの有名人を輩出しているソロボンヌ大学哲学科の学生たちは、授業が面白くないので、高校のアランの授業を聴きに来ていた、というくらいいい授業をしていたのだとか。 理想的な教師であり哲学者だったのでしょう。 その中から「幸福」をテーマにしたものを選んで、1925年に出版されたのが『幸福についてのプロポ』。 よって幸福論ではないし、アランは論じていないのに、日本では『幸福論』という邦題が定着してしまったのだそうだ。 日本では9種類の日本語訳があるというのですから、長い間沢山の人に読まれてきたのですね。 私が買ったのは神谷幹夫訳の岩波文庫。ちょっと読みにくい気がしないでもない。 アランは難しい言葉を使っていない。幸せになるには意志と行動が必要であると一貫している。 無神論者であり、占い等の神秘的なものは一切信用していない。 「憂鬱な人に言いたいことはただ一つ。遠くをごらんなさい。自分のことなど考えるな、遠くを見るがいい」 「仕事を規則正しくすること、そして困難を、さらなる困難をも乗り越えること、これがおそらく幸福に至る正道である」 「天気の悪い時にはいい顔を!」 「うまく行ったから嬉しいのではなく、自分が嬉しいからうまく行ったのだ、といつも考えねばならない」 「自分の不幸は現在のものも過去のものも、絶対他人に言わないことである。自分について不平不満を言うことは、他人を悲しませるだけだ。なぜなら、悲しみは毒みたいなものだから」 「幸福とはすべて、意志と自己克服とによるものである」 幸せは待っていてもやってこない、自分から進んで取りに行くんだという積極的な考えがアランである。 昨夜、「寒さに抵抗する方法は一つしかない。寒さをいいものだと考えることだ」を読んで、おおっ~!! 見抜かれたかと思った。(笑) 以前、息子に「暑いだの寒いだの、お母さんは言い過ぎる。夏は暑いんだから」と叱られたことがあった。トホホ・・・ 寒さを嘆かず文句を言わず、いい顔してれば気分も落ち込まないってことね。 今年は未曾有の大災害に見舞われ、日本人全員の気持ちが沈み込んでしまい、幸福とは言えない状況になったけど、今、生きている意味を考えて、悲観することなく困難を乗り越えて行くことが、幸福に至る道なのだと教えてくれているのかもしれない。 番組の進行役、元NHKの堀尾正明アナは哲学科卒だそうです。 ちなみに4月~10月までに解説された本は、ニーチェ『ツァラトゥストラ』、孔子『論語』、ドラッカー『マネジメント』、福沢諭吉『学問のすゝめ』、ブッダ『真理のことば』、マキャベリ『君主論』。 う~ん、一冊も読んでいませんわ。 『ツァラトゥストラ』を短い漫画で読んだことがあるが、ニーチェが本当は何を言いたいのかわからなかったから、読んだことにはならない。 唯一、来月の宮沢賢治『銀河鉄道の夜』だけはかろうじて読んでいる。 でも忘れちゃった。再読するため本棚から引っ張り出してきたところである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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