カテゴリ:♪本の覚え書き♪
![]() ああ、手首だと、私は思ったものである。切断された手首だとは思わなかった。誰の手首だろうとも思わなかった。ただ、手首だと思った…。怪談専門誌「幽」の連載を書籍化。八つの幽談を描いた京極夏彦の新世界。 暑い夏には京極さんです ![]() 手首を拾う/ともだち/下の人/成人/逃げよう/十万年/知らないこと/こわいもの 以上の短編なのですが、白い世界をたんたんとと語っているような不気味さがいいですね~。 最後の『こわいもの』は、一人広めの和室に座り、恐いものとは何かをただただ考えている人の語りなのですが、哲学的なのにおもしろい! 見えないから恐いの、見えたら恐くないのか、その先に死があるから恐いのか、死の先があったら恐くないのか… 幽霊を恐いと思うものだけが幽霊を視るのだ。恐いと思わぬものは絶対に幽霊など視ない。 どんなものを視ようともそれを幽霊だと思わなければそれは幽霊ではない。反対に枯木だろうが雑巾だろうがそれが幽霊に見えてしまったのであれば、それは幽霊なのだろう。 そんなことを考えていた男の前に紋付はかま姿の小さな老人が入ってきて、彼に真実の恐怖を売るというのです。さて、この老人が差し出したものとは…。 そうかもしれませんね。 ありえないことでもそれを「そうなんだ」と受け止めてしまえば、不思議でもなんでもなくなってしまう。 いろいろなことが当てはまりそうですね。。。 京極夏彦の怪談ではなく幽談なのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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