マンガの中の喫茶店と飲食店 御厨さと美篇
御厨氏は寡作ながらも良質のマンガ作品を残したことは間違いありません。でも前回、真の傑作をものすることがなかったような感想を述べてしまったのですが、氏は書痙を患ったことが執筆を断念した理由であることをWikipediaで知り、うっかりしたことを書くものではないなあと反省しました。マンガ家が手指をダメにすることがどれ程に辛いことか、ぼくなどのような者には知る由もないことですが、有名な話ではちばてつや氏が若い頃にカンヅメされた宿屋でふざけて編集者に電気あんました挙句蹴り飛ばされてガラスで右手の腱を何本か切ってしまったというエピソードがあります。その時は幸いにもお隣の東大病院ですぐに治療を受けて無事後遺症もなく完治したとのことです。最近では『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の作者、太田垣康男氏が腱鞘炎の悪化により画風を大幅に変えて連載を継続しておられるそうです。現代では紙とペンという往年の執筆媒体からCGなどの活用が当たり前になりつつあるようですが、やはり未だに手指の重要性は変わらぬようです。『イカロスの娘』(全2巻)(小学館, 1982)『ルサルカは還らない 第1,2,5巻』(集英社, 1996,97,98)『闇の伝説』(朝日ソノラマ, 1980)「キャピタル・ジャック」『裂けた旅券』(全7巻)(小学館, 1981-83)