カテゴリ:韓国、北朝鮮
尹永夏級は沿海哨戒用のミサイル艇。 計画では、高度な戦闘システムと対艦ミサイルと砲熕兵器が連接されたことにより、浦項級コルベットの任務の一部を代替することも可能とされた。 当初、24隻を建造する計画で、最終的に18隻を建造する計画となった。 1隻あたりの建造費は850億ウォン。 1番艇は第2延坪海戦で戦死したチャムスリ級357番艇の尹永夏(ユン・ヨンハ)艇長に因んで「尹永夏」と名付けられた。 2番艇以降は、外国製のウォータージェット推進装置に変えて「国産」CODAG(コンバインド・ディーゼル・アンド・ガスタービン)を採用。 CODAGはディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを組み合わせた推進方式。 ディーゼルエンジンによる経済航行とガスタービンエンジンによる急加速、高速航行を両立させる。 これにより、航続距離性能と加速/速度性能の両立を目指す。 低速回転で効率の良いディーゼルエンジンと、高速回転で効率の良いガスタービンエンジンの回転特性が大きく異なるため、ギアボックスの設計に高度の技術を要する。 【欠陥】 1番艇の就役前の主なトラブル ■ウォータージェットエンジンからの潤滑油漏れ ■ディーゼルエンジンのエアタンクからの空気漏れ ■航海レーダーが消える などなどで61件の改修が施された。 就役後2カ月間で下記のトラブルが発生。 ■ウォータージェットエンジンのタービン翼と冷却装置の腐食 ■ディーゼルエンジンの潤滑油と燃料油の漏れ ■磁気羅針盤に20度以上の誤差 ■艦内通信システムの交信が不可能 などなど95件の改修が施された。 その後、レーダーとエンジンに再び欠陥が発見された。 2番艇以降は外国製のウォータージェット推進装置に変えて新たに韓国の斗山社が独自開発した「国産」CODAG方式推進装置を装備。 高速走行時に直進できない、推進軸のベアリングの問題により速度が急低下等の新たな欠陥が発生した。 ■2014年、本来フランス製であるべき電子機器冷却ファンなどが、台湾製にすり替えられていた事実が発覚。 そして、2014年からトラブルが発生していた現代WIA製76mm速射砲の欠陥により2015年1月、誤射事件が発生。 【パクリ・欠陥・事故】 2015年1月21日、黄海に配備されていたコムドクスリ級ミサイル高速艇「黄道顕」の76mm砲が誤作動。 砲弾1発が誤って発射された。 付近にいた水兵1人が爆風の影響などで頭部を負傷し重体。 誤射事件はイタリア・オート・メララ社の76㎜速射砲を韓国で不正改造したもの。 オート・メララ社製の76mm速射砲は西側の“大ベストセラー”。 優秀な性能と堅実かつ頑丈な設計で日本やカナダ、米国など多くの国が採用している西側艦艇の標準的艦載砲。 韓国海軍でもフリゲート艦など中型艦に採用していた。 ■パクリ 2008年、これを参考にして現代WIA社が2008年に国産76mm砲を開発。 海外への売り込み活動を始めたことに対し、オート・メララ社は「コピー品」として特許権侵害と営業損害賠償で韓国・現代WIA社を告訴。 国際法の考慮をしない韓国最高裁は、波よけの防盾の形などに独自性が認められるとしてオットー・メララ社の訴えを退けた。 現代WIAは生産を継続。 国産、現代WIA社製76mm砲は、発射速度が本家の毎分85発を超える100発。 海軍が新造艦に搭載を決定。 76㎜砲登載の既存艦も速射能力を向上させるための改造を韓国製の部品を装着する形で実施した。 ・事故と隠蔽 2014年4月、コムドクスリ級高速艇「徐厚源」搭載の76mm砲に異常動作が発生。 10月、同級高速艇「趙天衝」が、北方限界線(NLL)を侵犯した北朝鮮艦艇に警告射撃中、76㎜砲が突然停止し射撃不能となった。 この事故を受けて北方限界線での不発事案発生直後に2度行われた発射試験で不発弾の発生を韓国海軍が隠蔽していたことが判明 2015年1月、上記の誤作動事件発生。 トラブルのないときは韓国産76mm砲。 事故発生後は「イタリア・オットー・メララ社製の76mm砲」と発表。 同社製の砲(正規品)を採用している日本を含む他国で同様の事故は、発生していない。
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最終更新日
2020年02月01日 06時00分12秒
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