訪日外国人はどこへ消えたのか?
2003年、ビジット・ジャパン開始時の訪日外国人客数は521万人。 2013年に1,036万人と1,000万人を超えた。 2016年は前年の1,973万人からさらに増加。 2,403万人、過去最高を記録、前年からの増加分はかつての1年分近く。 訪日外国人客は飛躍的増加を続けており、東京都区内のホテルの宿泊料金も上昇していた。 ただでさえ物価の高い日本で、高額の宿泊料を要するシティホテル、シティホテル並みの宿泊料設定のビジネスホテルの栄華は終わりを告げたようだ。 訪日外国人は、どこへ消えたのか? 突然にホテル宿泊者数減の謎・・・訪日者数は激増でも 2016年11月5日 ビジネスジャーナル 「東京にある主要なホテルに宿泊する訪日外国人が8月、突然減ったのです。 訪日外国人は増加しているはずなのですが」 こう語るのは、東京都内の大手シティーホテルの幹部だ。 このホテルは都内でも外国人の宿泊者の割合が多いホテルとしてよく知られており、8月に外国人客の宿泊者が激減したという。 10月22日付日本経済新聞朝刊によると、都内の主要18ホテルは今年に入って客室の稼働率が7カ月連続で前年割れとなり、8月の稼働率は79.2%と前年同期よりも6.2%減少し、今年最大のマイナス幅を記録した。 同紙では「宿泊料金の上昇を受け、国内客、訪日外国人ともに都内ホテルの利用を避けたようだ」という。 …(略)… 高い宿泊料金とリピーターの増加が、都区内のホテルの利用を避けた主な要因とみられる。 航空機の海外と日本の主要な結節点は、成田、羽田、関空。 東京を目的地としない客を含め、海外客は東京を通過、利用する確立が高い。 訪日外国人、東京を「通り過ぎ」どこへ行っている? 「行き先」に衝撃の事実判明 2017年5月12日 Business Journal 2016年11月5日付当サイト記事『訪日外国人は、どこへ消えたのか?突然にホテル宿泊者激減の謎…訪日者数は激増でも』では、東京から消えた訪日外国人の行方を追った。 きっかけは、都内の大手ホテル幹部から「(昨年)8月は訪日外国人が増えているにもかかわらず、東京のホテルの稼働率が大幅に下がっている。 彼らはいったいどこに泊まっているのか」という話を聞いたことだった。 実際に発表された都内のホテルの稼働率などをみてみると、やはり大きく減っていることがわかったため、船利用の訪日客や民泊などにも注目して取材を重ねた。 …(略)… 関東エリアから入国した訪日外国人旅行者の数は253万人。 このうち広域に移動するのは96.2万人で38%。 一人当たりの滞在都道府県数は2.9か所だ。 4割近い訪日外国人が都心から地方に移動しているが、移動先からそのまま出国するのは27.5万人(10.9%)しかいないから、出入国だけを見ると関東エリアからあまり大きな移動をしていないようにみえるということだ。 ではどこに行っているのか。 近畿35.8万人(14.2%)、東海30.1万人(11.9%)、信越地方9.6万人(3.8%)、北海道7.2万人(2.8%)、となっている。 「入国3~4日目が、北海道・東北 滞在の移動のピーク。 他は信越→北陸、東海→近畿と徐々に広がる」(同) 近畿エリアはどうだろう。 入国者数は160.7万人で広域移動者数は47.1万人(29.3%)、一人当たりの滞在都道府県数は2.8か所でそのまま出国する人の数は27.7万人(17.2%)と関東エリアよりも高い。 入国3日目に東海滞在がピークを迎えた後、関東へ広がる。多くは、 6日目までに関東から出国」(同)するのだという。 …(略)… これを入国者の国別でみると、「“中国”・“アメリカ”・“フランス”は滞在都道府県数が多く、広域移動傾向が高い。 移動傾向の低い“韓国”を除き関東が最多滞在区域だが、“台湾”・“香港”には、地方分散傾向が見られる。 “中国”・”アメリカ”からの旅行者に、“関東”での入国~滞在~出国者数に一定の増減が見られる」(同) …(略)… 他の人がしていない体験を望む中国、米国、フランスからの滞在者は広域移動する。 韓国人は都会が好きなのだろうか? 訪日リピーターが多い香港、台湾は、当然日=東京ではないはず。 訪日頻度が高まるにつれ、日本らしさを体験でき、コストパフォーマンスの高そうな東京・大阪以外の観光は増えることだろう。 日本の歴史と文化の缶詰のような京都だけは別のように思える。 見どころの多い東京のビジネスホテルは、宿泊料金が正常化されれば稼動が確保できる。 シティホテルが利用者のニーズに対して過剰だとすれば、稼動の回復は難しい。 2020年、政府は訪日客数4,000万人の目標を掲げた。 同年の東京オリンピック開催二向け、東京都とその周辺ではホテル建設が続いている。 高客単価の訪日外国人客の急速な地方分散傾向は、それによる新ホテル投資資金の早期回収を皮算用していた者には悲報。