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カテゴリ:手術全般
進行すると最後は失明してしまうことのある怖い病気緑内障、治療は主に目薬で眼圧を下げることですが、目薬ではどうしても目標とする眼圧まで下がらない場合に外科的な手術を選択することも当然あります。
手術は、大多数の場合は目の中の水の出口(線維柱帯:せんいちゅうたい)の一部を切り取って眼圧を下げる、「線維柱帯切除術」が行われます。
上の写真で水色の部分の奥に線維柱帯があり、それを切除したことによって房水(ぼうすい)という目の中の水が外に流れ出し、濾過胞(ろかほう)という水ぶくれ(上の写真でblebと書いている所)を目の上の部分に造ることによって眼圧を下げています。
ところがこの緑内障の手術というのは、術後に一定の確率で感染症を起こすことがあるのです。文献によって多少差はありますが、平均で2~3%の頻度でこの濾過胞(=bleb)感染が起こると言われています。
そのため当院でも年に1人くらいはこの濾過胞感染症(=blebitisと言います)の方の治療をすることがあります。つい先日、このblebitisを発症された患者様が来院されたので、それがどのような状態のものなのかを実際に見て頂きましょう。
この患者様は「4、5日前から左目がかゆい、おかしい」と言って来院されたのですが、上の写真で真ん中にある濾過胞が黄白色に混濁し周りも強く充血しています。
この炎症が目の中にまで及ぶと最悪の場合失明してしまうこともあるため、速やかに強力な治療を開始する必要があります。この方に関してはニューキノロン系+セフェム系という2種類の広い範囲のばい菌に効く目薬を1時間ごとに点眼するという治療を開始し、
次の日には症状はかなり改善しましたが、まだ油断できない状態が続いています。
このように緑内障の外科的手術を受けた患者様には、常に術後の感染症発症のリスクが付きまといます。なので、強い目の痛みや充血などを感じたときには、すぐに我々眼科専門医を受診するようにして下さいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.03.19 15:17:20
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