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カテゴリ:外来診療一般
先日の日記の続きです。有効な治療法が無いと言われる難病、網膜色素変性症ですが、実は数年前から散発的に「ウノプロストンという目薬が効果がある」という論文を目にするようになりました。
論文によると著しく自覚症状が改善した患者様が実際にいるということです。これはウノプロストンが持つ、網膜の神経節細胞のグルタミン酸障害に対する保護作用によるものではないか?と推察されていますが、まだはっきりしたことは分かっていません。
↑ これがそのウノプロストンです。実際には「レスキュラ点眼液」という名前の緑内障・高眼圧治療薬です。
このレスキュラ、10年以上前にはベストセラー薬として一世を風靡したこともあったのですが、「点眼時に非常にしみる」、「角膜(黒目)の上皮障害を高率に起こす」、「眼圧下降効果が弱い」などの弱点があり、他の緑内障新薬に負けて現在では処方されることが非常に少なくなってきています。
ところが薬の作用と言うのは不思議なもので、今また新たな病気に効く可能性が浮上しているわけです。緑内障を合併している網膜色素変性症の患者様には当然保険診療の範囲内で処方することが可能な目薬なので、私はここ数年網膜色素変性症がある方には、このレスキュラ点眼液について説明をし希望の方には実際に処方もしてきました。
「この薬はしみるのでイヤ」という方ももちろんいらっしゃいましたが、継続されている方の中に「レスキュラさし始めてから、なんだか視界が明るく良く見えるようになった」と、自覚症状の改善を認める患者様も実際にいらっしゃいます。
なので、私は自分自身の経験から「レスキュラには網膜色素変性症の治療薬となる可能性がある」のではないか?と感じています。
また実際にこのレスキュラ、現在開発元のアールテックウエノ社が、少し濃度を変更して(未確認データですが25%濃度を上げているという説もあります)、オキュセバ点眼液と言う名前で、網膜色素変性症の治療薬として治験中 でもあります。
医学の世界は常に少しづつ進歩しています。昨日治らなかった病気も明日には治ることもあります。私は八幡浜地域の皆様に全国レベルの最新で安全な眼科医療を提供し続けることが出来るように、これからも毎日の勉強を欠かさずに努力していきたいと考えています。
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最終更新日
2010.07.25 12:54:13
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