カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
有栖川有栖『月光ゲーム-Yの悲劇'88』
~創元推理文庫~ 英都大学、推理小説研究会(EMC)に入会した僕、有栖川有栖。 夏休みに、矢吹山にキャンプに出かけた。道中のバスの中で、同じく矢吹山にキャンプに向かっていた大学生たちと知り合いになる。キャンプ先では、先に到着していた大学生たちのグループがいた。みんなで一緒にキャンプを楽しむことになった。総勢17人。 キャンプファイヤー、EMCが提案したマーダー・ゲームで楽しんでいた有栖たちだが…。 メンバーの一人、小百合の突然の失踪。休火山であった矢吹山の突然の噴火。 そして、殺人。被害者が残した、Yのようなかたちをしたダイイング・メッセージ。 事件の謎を、EMCの会長江神が解く。 数年ぶりに再読(初読は高校生の頃)。 なんて悲しい物語なのだろう-と思った。ミステリを何百冊と読んでいて、ミステリが好きな私がいうのも変だけれど、こういうミステリは悲しいよ。 第一章が、楽しさに満ちあふれていて。なんでみんなこんな仲良くしてるのに、殺人事件なんか起こるの?楽しくキャンプしようよ。って思って。 これは一般論なのだけれど、殺人が起こる際、その大部分には動機があると思う。遺産目的、金品強奪目的…など、自分勝手なものもあるけれど(殺人は全て自分勝手という意見があるかも知れないが、人を殺したくなるほど追いつめられることがあるということは痛いほど知っているし、だから情状酌量という制度があるんでしょう?)、かっこ内に書いたような、どうしようもなく追いつめられて、っていうのもある。後者の方を考えたい。ある人物は、殺人の被害者となるけれど、その人物は殺人の加害者になんらかの形で苦痛を与えたわけ。殺したいと思うほどの。だからそもそも、動機を作る人間にも(殺されても仕方ないと思う人間だって、正直いる。児童虐待、性的虐待、人権侵害etc)問題はあるのだ。 で、この作品に戻るけれど、第一章でみんなとても楽しそうにしているのに、やっぱり殺意を抱かせるようなことをしちゃう人がでてくるわけで。そこが悲しかった。 ミステリとしては、良い作品。十分な伏線。「読者への挑戦」も挿入されている。物語としても、上記のようなことをつらつらと考えさせてくれる、良い物語。でもやっぱり悲しいよ。 午後からイオンで本買って、病院に戻る。次の火曜日に帰ってくる予定ので、そのときにあらためてこの日記も更新するつもり。 追記。今日のバニラ・ムードの演奏は、「東京ブギウギ」。演奏後、Marikoさんが大学の試験のため会場をあとに。で、後半の俳句にはMarikoさん以外の三人がのぞんでいた。 高田崇史『QED 鬼の城伝説』森博嗣『奥様はネットワーカ』(講談社ノベルス版)ジャック・ル・ゴフほか『世界で一番美しい愛の歴史』購入。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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