カテゴリ:本の感想(ま行の作家)
真梨幸子『孤虫症』 ~講談社~ 「私」は、36歳の人妻。娘は、私立中学の受験のためにイライラしている。そして…男の体を求めてしまう。週に三回、「私」は夫以外の男と肉体関係を結んでいた。三人の男で、一人ずつ。 ある日から、激しいかゆみに襲われるようになった。図書館の本で、原因を調べる。しかるべき処理をしてから、「私」は男たちとの接触をたつことにした。 ところが、関係をもっていた男の一人が、奇病で死んでしまった。その家族が「私」が男と寝るために用意していたアパートに現れたため、アパートを解約することにする。 自分が肉体関係をもった男が、奇病で死んでいく。 そして-。かりかりかりかりかり…音に悩まされるようになる。虫の音。「私」の中に虫がいるんだわ!夫は頼りにならない…。 「私」は、行方不明になる。 * 姉の様子がおかしくなっていた。相談があるという。しかし、相談を聞くと約束していた日の前に、姉は行方不明になった。義兄によれば、部屋には右手首と書き置きが残されていたという。 私の夫も、変死を遂げた。 私は、義兄とともに、姉をさがす。 第32回メフィスト賞受賞作。 講談社のメルマガによる内容紹介もじっくり読まないまま、ほとんど予備知識のないままに読み始めた。セックス依存症と自覚している女。自分を悩ませる奇妙な症状。虫、虫、虫。 「性」「ホラー」といえば、手持ちの本でいえば、坂東眞砂子さんを連想するが、雰囲気はずいぶん違う。 読んでいて、気持ちが悪くなるシーンがいくつもあった。もちろん、コンディションのせいもあるだろう。途中で本当に胃がむかむかして気分も悪くなってきたから、頓服のエクセラーゼ(胃薬)とデパスを飲んだほど。 さすがはメフィスト賞。単なるホラーではない。いわゆる、「ミステリ」的な要素も入ってくる。第二章から、奈未の一人称による記述になるのだが、自分自身が疑われる恐怖も描かれる。 う~ん、気持ち悪い。というんで、ホラーとしては良い作品だと思う。面白かった。 どんどん泥沼になってぐちゃぐちゃになって終わられるよりは、それほど読後感は悪くない。 * 感性の歴史家、と呼ばれるアラン・コルバンという方の著作に、『娼婦』という大作がある。本屋か図書館でぱらぱらと読んだことがある程度だが、巻頭に写真のページがある。そこに、性病にかかった方の写真もあった。こんな症状になってしまうのか…と、こわくなったのを覚えている。 * う~、感想書きながら内容思い出していたら、気持ち悪くなってきた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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