カテゴリ:教養・学術書(西洋史以外)
野村順一『色の秘密 最新色彩学入門』 ~文春文庫PLUS~ いわゆる雑学本・ハウツー本ということになるでしょうか。西洋史関連の新書はよく読みますが、この手のは私がめったに読まないジャンルですね。色彩の歴史という分野に関心をもっているため、簡単な色彩関係の本を読みたいと思っていたので、買っていたのでした。 冒頭に、カラーチャートがあります。「好きな色で分かる人柄と適職」「男性が自分の好む色で分かる理想の女性像」「女性が自分の好む色で分かる理想の男性像」「カラー・コミュニケーション」などなど、ほんまかいな、と思う反面、興味深くもあります。 本書が強調しているのは、日光の重要性です。白は放射エネルギーを肌まで透過させ、自律神経を活性化するそうです。一方黒は体に有効な太陽光線を吸収してしまう。体まで太陽光線が届かない。緑のトマトを使った実験が紹介されています。白い布地、赤い布地、黒い布地をかぶせて、日光があたるところに置いておいた。すると、黒い布地をかぶせた緑のトマトは、熟さず、緑のまましぼんでいたそうです。同じように、黒い服ばかり着ていると、「冗談ぬきで(中略)しわが増えてしまう」んだそうです。若干焦りました、気をつけなきゃ…。 また、夜は当然あかりとして日光を利用することはできませんが、このとき、蛍光灯よりも白熱電球が良い、ということが強調されています。 人間の五感の中で、圧倒的に大きな比率を占めているのは視覚で、87%。一方、味覚は1%だそうです。なので、食事の際も、色が大事であるということが力説されています。 具体的な実験の例を挙げて、青や赤など、色が実際に人体に影響を及ぼすことが紹介されます。身近な話としては、こうした色の効果を利用して、素敵な住まいにするため、おいしく食事をとるための色の使い方などが紹介されます。またお店や企業の戦略としての色の利用法なども紹介されています。 ほんまかいな、と思えてしまう記述、図式の中に見られる意図的な強調など、ツッコミどころもありますが、とにかくいろんな話題があり、興味深かったです。 ーーー 本書に関して追記。著者の野村さんは、昨年亡くなられているようです。多くの著書を出している方のようですね。 なお、私の所有文献一覧では、本書は専門書(歴史関連)のリストに挙げてあります(こちらは、いまのところ、リストからリンクをはるつもりはありません)。上にも書きましたが、色の歴史という分野への関心から本書を買ったため、歴史関連のリストにいれています。本書では、ヨーロッパにおける色彩の歴史が特に扱われているということはないので、注記しておくべきかと思いました。 さらに追記。一部訂正しました。不適切だと思ったので。 ーーー 昨日も今日も、記事をアップするために管理画面にはいると、トラバ新着で変なサイトからアラシのようにトラバがはられているのがわかりました。即刻削除しましたが、不愉快ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.09.11 20:52:51
コメント(0) | コメントを書く
[教養・学術書(西洋史以外)] カテゴリの最新記事
|
|