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2006.11.11
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さよなら純菜そして、不死の怪物
浦賀和宏『さよなら純菜、そして、不死の怪物』
~講談社ノベルス、2006年~

 八木剛士&松浦純菜さんシリーズ第5作。
 以下、簡単に内容紹介と感想を。内容紹介は備忘録の意味もこめて少し詳しく書くので、あまり内容を知りたくないという方はご注意ください。

 前回の「史上最大の事件」で、純菜さんと会えなくなった八木さん。また、前回のひどいいじめで登校拒否にもなっていますので、学校に行かず、しかし外出はしばしばしながら、とにかく純菜さんのことを考え続けます。純菜さんの家にも行くのですが、お父さんに追い返されてしまいます(きつい言葉はありませんが…)。
 そんなこんなで自室にいたとき、河野さんや小田さんがやって来ます。しかも彼らは、前回の「史上最大の事件」で大きな役割を果たしたドイツ人留学生のマリアさんと、マリアと同じ学科だという坂本ハルさんを連れてきていたのでした。
 純菜さんがやってきたかと期待したのですが、彼らということに残念がる八木さん。しかし、四人が帰る頃になると寂しく思ったりするんですね…。ところで、このとき小田さんが選りすぐりのミステリを八木さんに貸すのですが、このミステリをめぐる話も後々面白かったです(また感想に書きます)。
 さて、四人が家を出たとき―外からマリアさんの悲鳴が聞こえます。そして、河野さんが誰かともめるような音。八木さんのことをつけねらっている「スナイパー」が現れたのでした。「スナイパー」は、八木さんの部屋までやってきます。ここで八木さんと「スナイパー」はじりじりと向かい合っているわけですが、八木さんは窓から逃げます。そして家のまわりには八木さんと「友達」の四人、そして八木さんの叔母さんの六人がいて見張っていたはずなのですが、警察がやって来たとき、「スナイパー」はいなくなっていたのでした。
 その後、純菜さんとあらためて話がしたいと、「雨男」南部さんの力を借りながら彼女の家を訪れたりもしますが、また挫折。いろいろ考えた八木さんは、ふっきれることになります。画廊の呼び込みの女性に怒鳴り返し、土手の鉄のポールを殴っても平気なことに気付いた彼は、完全に吹っ切れます。そして、「この恨みはらさでおくべきか」リストに載っている高校の同級生どもへの復讐を決行するのでした。

 今回は、八木さんの一人称で話が進みました。だから、というべきか、妄想が長くて話が進まないこともしばしば。章の変わり目に、「私」の一人称が挿入されます。素直に本書を読めば、「私」が誰かはわかるのですが、しかし仕掛けがあるかもしれません、はてさて…。物語のラストに置かれた「通信記録」も謎に満ちていて、はたして続きがどうなるのか、気になるところです。『上手なミステリの書き方教えます』に挿入されていた「天国移送」へと至るプロセスの一端という文章もつながってきました。
 本書の中で面白かったのは、上でも少し書きましたが、小田さんから借りたミステリを読んで八木さんが考えることです。ミステリと差別について、とでも言いましょうか。ミステリについて書く前に、『バトル・ロワイヤル』などについての感想もあって興味深かったです。(『バトル・ロワイヤル』は、私は未読なのですが…)。ミステリへの感想として、探偵側の人間は殺人者に対する差別はいけないと指摘しながら、決して自分(たち)が殺人を犯すことはない、と言います。それは結局、殺人者は探偵をする資格がないという一種の差別の現れである、というのですね。興味深く読みました。
 同じく関連して、八木さんが読んだ物語に竜宮城之介さんなどが登場するようなのですが、これは清涼院流水さんの作品ですね。乙姫さんの経歴について、『カーニバル・イブ』の巻末リストで確認したところ、本書で言及されている乙姫さんと一緒ですし。気になりました。といって、清涼院さんの作品を再読する気にもなかなかなりません…。
「川商殴り込み大作戦」はかなりスプラッターですが、いじめられ続けていた八木さんがクラスメートのくずどもをぼこぼこにしていくシーンは、どちらかといえば爽快でした。 さて、来春、『世界でいちばん醜い子供』が刊行予定だそうです。本作の続編でしょう。どうなるのでしょうか、楽しみです。





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Last updated  2006.11.11 21:25:15
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