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2007.03.16
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服飾の中世
徳井淑子『服飾の中世』
~勁草書房、1995年~

 著者の徳井淑子さんは、本書出版時、お茶の水女子大学助教授。私の既読本には、他に編訳書の『中世衣生活誌―日常風景から想像世界まで―』(勁草書房、2000年)があります。また、最近の著書に、『色で読む中世ヨーロッパ』(講談社選書メチエ、2006年)があります。こちらも気になっていたのですが、いつの間にか大学生協からなくなっていて、いまだに入手していません…。
 本書『服飾の中世』は、三部からなります。おおざっぱにいって、第一部は、中世の服飾の特に色彩面に着目、第二部はモノ(手袋、スカートなど)に着目、第三部は近代フランスにおける中世趣味的な異装に着目しています。
 目次は以下の通り。

第一部 中世の色彩感情 第一章 多色の衣に対する蔑視
 第二章 黄色の喩えと制度
 第三章 <閑暇>と緑衣と鏡―『薔薇物語』の人物描写―
 第四章 緑衣の習慣と象徴
 第五章 子供の色とミ・パルティ
 第六章 色の意味の両義性
 第七章 国王の色と都市の色
第二部 中世服飾の象徴性
 第一章 マントの習慣―『トリスタン』物語の一節をめぐって―
 第二章 パリウムの儀礼―慈愛の聖母像の周辺―
 第三章 封建儀礼と服飾―武勲詩から
 第四章 袖を贈る・袖を縫う
 第五章 裾(スカート)にまつわるエピソード
 第六章 衣服の剥奪の皮衣のシンボル
 第七章 マージナルの記号―聖ルイ王の逸話から―
 第八章 素材の博物学―動物誌と服飾描写
第三部 近代の中世趣味
 第一章 懐古趣味と異装―フランス1830年代―
 第二章 異装の発端―『アンリ三世とその宮廷』の上演をめぐって―
 第三章 異装の背景―ボエームの生活と仮装舞踏会―
 第四章 絵画と歴史と服飾と―懐古趣味から服飾史学へ―
結論にかえて―黄色の記憶―

 一つの章が10~20頁ですし、どれも読みやすいです。私は、冒頭から引き込まれました。たとえば、欧米人が自分の髪や目の色と服の色の組み合わせを意識するというのですが、金髪の方に黄色の服が禁物などということが紹介されています。もちろんこれは現代の話ですが、そこから中世の多色に対する蔑視の話にうつっていくのは読んでいてとても面白かったです。
 章の標題にもいくつかうかがえますが、本書の主要史料は文学作品です。その中に現れる、服飾、あるいは色彩に関する記述を掘り起こしながら、当時の人々の心性を探っていきます。
 第三部は近代の話とあって、私は流し読みしたのですが、19世紀フランス文学がいろいろと紹介されていますし、こちらはそういうジャンルに興味がある方も興味深く読めるのではないかと思います。
 良い読書体験だったと思います。





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Last updated  2008.07.12 18:48:04
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