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2007.03.21
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島田荘司『確率2/2の死』
~光文社文庫、1985年~

 吉敷竹史シリーズ、最初の文庫書き下ろしの長編です。シリーズの長編としては、4作目といったところでしょうか(『死者が飲む水』解説参照。『消える「水晶特急」』にも吉敷刑事は登場するようですが、脇役ということなので)。以下、簡単に内容紹介と感想を。

 プロ野球選手・巨人のピッチャーである川口の息子が誘拐された。吉敷は、家族のかわりに身代金を渡す役割を引き受ける。9月10日(火曜日)、吉敷は犯人からの電話で、公衆電話から公衆電話へと走らされる。ついに最後の電話かと思った電話では、川口の息子の無事と解放が告げられ、さらに、身代金はいらないと告げられる。
 何度も吉敷を走らせたにもかかわらず、身代金を要求しない犯人の意図は何だったのか―。
   *
 事件発生以前に、主婦の甲斐佳子は、奇妙な体験をしていた。火曜日の午後、ある住宅の一角を、同じ白い車が何度も何度もぐるぐる回っているのを、アパート五階の自室のベランダから目撃したのだった。その車の行動自体が奇妙なのに、さらに不可解なことがある。その一角に沿った店の人々が、みな一様にその車を見ていないというのだ。
 さらに、夫がいつの間にか職をやめていたこと、そして奇妙な行動をとっていることも知ることになる。

 吉敷刑事が、犯人の要求で走っているところから物語は始まります。…正直、その段階では面白くなさそうだと思って、読むのをのばしのばしにしていました。読み進めるうちに、犯人の用意周到な行動に興味をもちつつ、吉敷刑事との駆け引きも面白く感じ、犯人が身代金を要求しないとなって、一気にこれは面白いと思い始めました。
 第一章では、吉敷刑事の行動と甲斐佳子の行動が交互に語られるのですが、甲斐さんの側の節でも、白い車の奇妙な行動や夫の行動に興味をかき立てられていきます。二つのストーリーが重なった後、事件の関係者が事故死し、その後さらに奇妙な事実も発覚することから、ほぼ序盤の段階から、面白くなさそうなんて気持ちが吹き飛んだままに読み進めました。
 以下、ちょっと文字色を変えておきます。話としては、どこかで(ある作品なのですが…)聞いたことがあるようなことで、そのこと(物語の背景)にも途中でなんとなく気付きました(ここまで)。けれど、おそらく、真犯人が誰か、ということにはさほど重点のない物語です。だからこそなのか、ラストもちょっと物足りない感じだったのが残念でした。今年に入ってから、ずいぶん島田さんの作品を再読も含めて読んできましたが、その中で感じているのは、犯人の側の動機や事情の面白さです。そこが複雑だったり、十分に同情の余地があったり、結局誰が悪いのだろうと考えさせられたり。大がかりな謎が提示され、それがきれいに解決される過程も面白いのですが、そのように考えさせられることが、島田さんの作品(ミステリ)の魅力かなぁと感じています。





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Last updated  2007.03.21 17:04:46
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