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2007.05.12
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島田荘司『幽体離脱殺人事件』
~光文社文庫、1992年~

 吉敷竹史シリーズの(異色?)長編です。内容紹介と感想を。

 平成1年(1989年)2月14日。三重県・二見浦の夫婦岩の間に渡された縄に、男がぶら下がって死んでいるのが発見された。被害者は、東京の浮浪者だった。被害者は、東京の泥酔者保護所ではちょっとした有名人であったが、まさか三重県まで行くとは考えられないという。また、被害者が持っていた名刺の人物―小瀬川と、吉敷がちょっとしたことで知り合っていたことから、吉敷は事件に関心を抱く。
   *
 20年来の友人・陽子の鬱がひどくなってきたため、彼女からしつこく誘われたこともあり、「私」は、陽子のいる京都へ赴くことにした。二人は学生の頃から親友であり、またライバルであったが、陽子がぱっとしない男と結婚したのに対して、「私」は医者と結婚した。そこから、二人の生活に大きな違いができてきた。陽子は、鬱状態になるとき、病院に行かず、「私」の夫に電話して、治療費を払うのを惜しむような女だが、いまの境遇を考えると仕方ないと、「私」もなかばあきらめていた。
 陽子への考えが大きく変わったのは、高校生の頃から「私」が憧れていた津本と、陽子がつきあっていると聞いてからだった。陽子の妄想に違いないと考えた「私」は、京都に行く途中で、三重県鳥羽に向かう。そこに、津本の実家があるからだ。ところが道中、浮浪者風の男が、しつこく「私」の生年月日を聞いてくる。さらに、鳥羽の後に向かった二見浦では、「私」がもう一人いたのだった…。

 「私」の一人称で進む部分が多いのですが、そこがなんともしんどかったです。陽子さんの言葉、性格にとにかくいらいらし、彼女とのやりとりメインの「私」の記述も鬱々としていて…。上の内容紹介でいえば、浮浪者風の男が「私」の生年月日をしつこく聞いてくる部分はたしかに怖いのですが、その他、しばらく物語に大した進展は見られません(実は、伏線がめぐらされていたことに、真相が語られるところで気付き、やられた、と思ったのですが)。200頁くらいから物語がどんどん動き始めるのですが、本書は300頁ほどで、どんな風に落ち着くのが、どきどきしていました。…結局、個人的にはあまり好みではないタイプの解決になりました。たしかに、吉敷さんたちが颯爽と(?)登場するのは格好いいのですが、ちょっとあまりにも、という気もします。もっとも、本書の主眼は殺人事件の謎解きというよりも、「私」が体験する奇妙な体験を、「現実」に解体していく過程であるのでしょう。そういう観点でいえば、面白かったです。 …いや、むしろ、「私」の奇妙な体験こそが、本書の面白さなのかもしれません。
 謎解きミステリというよりも、どこかサスペンス、ホラーといった趣きの一冊でした。というんで、冒頭では、(異色?)長編と書いてみたのでした。





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Last updated  2007.05.12 06:49:06
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