カテゴリ:本の感想(か行の作家)
霧舎巧『十月は二人三脚の消去法推理 私立霧舎学園ミステリ白書』 ~講談社ノベルス、2007年~ 霧舎学園ミステリ白書シリーズ第7作、霧舎さんの最新作です。それでは、内容紹介と感想を。 十月十日の体育祭を前に、学校でボヤ騒ぎがあった。体育祭が無事に行われるかどうかも危ぶまれたが、結局は予定通り行うことになる。近隣でも、連続放火事件が起こっており、厳戒態勢の状況ではあったけれど…。 そして、体育祭当日。つつがなく進行していたが、中込椎奈が琴葉たちに預けた眼鏡が紛失するという事件(?)が起こる。さらに、保たちが時計塔の中に閉じこめられ、その時計塔に火がつけられる。 あぁ、なんだか今回の内容紹介はいつにもましてひどいですね…。作中の「私立霧舎学園ミステリ白書」、十月分と思われる作品が登場したり、9月の事件で登場したサーヤちゃんたちも登場したりと、それなりにイベントは起こるのですが、全て大きな事件の前の伏線といった感じで。本作は、そうした小さな伏線が積み重ねられたところで事件が起こり、それまでの伏線が解かれていくといった構造をしています。そういえば、本作では殺人事件は起きていないような…。 なお、今回の付録(?)は、巻頭の、体育祭プログラムと、琴葉さんの名刺です。これまた例によって例のごとく…。 私はここ数日、このシリーズをざぁーっと再読していたので、話にもついていきやすかったです。再読していなければ、名前が出てくる人物がどんな人だったかも覚えていなかったでしょう(九月編は2年前に読んで、記事のかたちで感想を書いているので今回は再読しなかったのですが、やっぱり、本書の中で九月編にふれられてもぴんときませんでした)。 本作でなにが良かったって、ラストです。あの人をこんな風に立ち回らせて、こんなサプライズを用意しているなんて…。事件自体は正直あんまりぱっとしませんでしたが、このラストのため、本書はとても面白かったと感じました。今回は、棚彦&琴葉ペアの推理よりも、保さんが進めていく推理の方が面白かったですね(それぞれ、別のことに関する推理ですが…)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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