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2007.08.10
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有栖川有栖『双頭の悪魔』
~東京創元社、1992年初版(1998年16版)~

 『月光ゲーム』『孤島パズル』に続く、学生アリスシリーズ第三作です。シリーズの中ではもちろん、現時点(2007年8月9日)での有栖川さんの全作品の中でも最長の作品になるのでは、と思います。
 それでは、内容紹介と感想を。

 私―有馬麻里亜(マリア)は、『孤島パズル』事件でのショックからなかなか抜け出せず、一人旅に出る。昔の友人、保坂明美のもとを訪れるべく、彼女は高知県と徳島県の県境あたりに位置する夏森村を訪れた。しかし、明美の用事のため、二人は会うことができない。ところが、マリアは、その先にある、芸術家たちの集まる村、木更村の話を聞いて、興味を抱く。 そこは、株で成功した木更氏が、数年前に廃村を買い取って作った村だった。住民は、木更氏に目をかけられた芸術家たちで、彼らは自給自足的な生活を送りつつ、自らの作品製作に力を注いでいた。
 外界からの侵入を頑なに拒む村人たちだが、マリアは村に入り、病気をしてしまい、木更家にとどめてもらうことになった。そこで、マリアは、画家の鈴木冴子のモデルをつとめる。
   *
 マリアの父からの依頼で、英都大学推理小説研究会のメンバー4人(部長の江神二郎、織田光次郎、望月周平、有栖川有栖(アリス))は、夏森村を訪れた。村唯一の旅館にとまった4人は、カメラマンの相原直樹と知り合う。4人が木更村を訪れるために、二つの村をつなぐ橋までやってきたとき、木更村の住人の一人と相原がもめているところだった。4人は相原の仲間と誤解され、マリアへの連絡をつないでもらうことができなかった。
 その夜。大雨にも関わらず、4人は木更村への強硬侵入に踏み込む。邸宅そばで、住人たちともめあったものの、会長の江神二郎だけは、邸宅に入り、マリアと会うことができた。
   *
 木更邸では、現当主である木更菊乃と小野博樹の婚約が発表され、住人たちはみな少なからず動揺していた。小野は、村に巨大な鍾乳洞を発見し、そこに壁画を描いていた。彼は、これまでのような村の閉鎖的な生活をやめ、木更村を鍾乳洞や村の芸術家たちの作品を売りにした観光地にしようと考えていた。その彼が現当主と結婚するとなると、住人たちは現在の生活を送れなくなるかもしれない…。そういう不安を抱く人物も多かった。
 江神がやってきた翌朝。朝食になかなか現れない小野を心配した菊乃の案で、住人たちは鍾乳洞の探索に出かける。そこで彼らは、岩棚の上に逆立ちの状態で置かれていた、小野の死体を発見する。死体は右耳が切り取られていたほか、香水をかけられていた。香西琴絵が調合した、「ヒロキ」という名前の香水だった。
   *
 相原は、恋人との別れ・妊娠・中絶というスキャンダルのため、摂食障害を患ってマスコミから姿を消した元アイドルの千原由衣が木更村にいるとつきとめていた。なんとか彼女の写真を撮ろうと考えている相原に、由衣のファンである織田が怒りをあらわにし、二人がもめるという出来事も起こる。
 アリスたち推理小説研究会の三人が、知り合った教員の羽島と、郵便局員の室木と夕食をともにした夜。相原がなかなか旅館に帰ってこなかったため、アリスたちは彼を捜しにいく。そして、相原が廃校となった小学校の教室で死んでいるのを発見することになる。
 相原が、旅館の女将に託していた手紙の問題など、疑問点も浮かんでくる。
   *
 さらに、事件が起こり、あらたな情報も入ってくる―そして江神は、事件の真相を見抜く。

ーーー

 長々と内容紹介を書いてしまいましたが、充実した内容となっております。
 木更邸と、夏森村の二箇所で起こる殺人事件。それぞれの事件について、それぞれの場所で推理が展開されるのですが、その過程が興味深いです。
 本書でどきっとしたというか、にこっとなったというか、なったのは、<一応反転>学生のアリスさんが「臨床犯罪学者」が登場する小説を書いているというくだりです。たしか、作家アリスシリーズでは、作家のアリスさんが、学生アリスシリーズを書いているというくだりがあったと記憶しています。こういうシリーズ間のリンクがあると、なぜだか嬉しくなります<ここまで>。
 何年ぶりかの再読ですが、楽しく読むことができました。





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Last updated  2007.08.10 06:45:05
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