カテゴリ:教養・学術書(西洋史以外)
池上彰『そうだったのか!日本現代史』 ~集英社文庫、2008年~ 池上彰さんの、『そうだったのか!○○』シリーズ(?)文庫化第3弾です。今回は、戦後日本の、特に政治・経済・社会問題の状況を分かりやすく伝えてくれます。 まず、本書の構成は以下のとおりです。 ーーー はじめに 第一章 小泉内閣が生まれた 第二章 敗戦国・日本 廃墟からの再生 第三章 自衛隊が生まれた 憲法をめぐる議論始まる 第四章 自民党対社会党~「五五年体制」の確立 第五章 安保条約に日本が揺れた 第六章 総資本対総労働の戦い 第七章 日韓条約が結ばれた 第八章 文部省対日教組 教育をめぐって抗争が続いた 第九章 高度経済成長 豊かな日本への歩み 第十章 「公害」という言葉が生まれた 第十一章 沖縄は返ってきたけれど 第十二章 学生の反乱に日本が揺れた 第十三章 日本列島改造と田中角栄 第十四章 バブルが生まれ、はじけた 第十五章 連立政権の時代へ そして歴史は刻まれる 主要参考文献 ーーー とりあえず、こういうテーマの歴史を読むと、これまで「歴史」に名を残してきたある種の方々は、いったい誰のために行動していたのか、と考えざるをえないですね。 与党となって政権をとってからは、内部の派閥の調整や権力者の声におされ、他党を批判しながら政権をとるためにはその党と合流したり、他党と同じようなことをしたり。 公害を起こしているのは自分の会社かもしれないと気付きながら、もみ消しにやっきになったり。 バブルの時代、この状況はおかしいと感じ、声をあげた銀行員たちの中は左遷されたということもあったそうです。バブルを盛り上げていた連中は、自分たちがしてきたことが間違っていたと認めようとせず、時間が経てば落ち着くだろうと、適切な対応を怠り。 これらのことは、もちろんそうした事件を後から振り返っているから言えるだけのことかもしれません。しかし、その時代にあって、その状況に疑問を呈した方々もいたこと、そしてその方々が多数でないという理由で不当に扱われたということは、忘れてはならないと思います。そしてそういう状況は、残念ながら今日もまだあるでしょう。 とりわけ最初に例として挙げた政治家の方々は、とりあえず自分たちの保身・権力維持のことばかり考えるのではなく、国民の方を向いてください。利権まみれ、金銭関連で不正をはたらいたことのある連中は、「違法ではない」だろうがどうだろうが、政治家という存在に値しないと思います。政策論争以前に、不正な政治家が一掃され、それから、きちんと国民・国のことを考えて、しっかりと政策を論じてほしいと思います。 と、読みながら、日本(人)のあり方にあらためて気持ち悪く思わされる一冊でした。同時に、私自身にもいたらない点は多々あると思いますし、日々勉強していきたいと思っています。 その他、恥ずかしながら私は「赤軍」についてほとんど知らなかったので、勉強になりました。戦後から今日にいたる、主要な政治の流れも展望できて、有意義な一冊です。 (2010/02/11読了)
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