カテゴリ:本の感想(た行の作家)
筒井康隆『筒井康隆の文芸時評』 ~河出文庫、1996年~ 1993年に『文藝』に掲載されていた、筒井康隆さんによる書評コーナーをまとめた1冊です。 こうした作品を読むと、自分の記事がいかに拙いかを再認識させられます。その自覚はもったうえで、ぼちぼちと続けていきたいですが…。 まず、どの作品も面白そうだと思いました。もっとも、筒井さんが面白いと思った作品しか挙げていないとのことですから、当然かもしれませんが。 ここでは、中でも興味をもった作品についてメモしておきます。 第1回では、何冊か読んでいる山田詠美さんの作品で、「逆説がお好み」という短編が紹介されているのが気になりました。笑いをとろうとした作品ということで、読んでみたくなりました(『快楽の動詞』(文春文庫)に収録されているようです)。 第2回では、ノースロップ・フライによる文学の発展の5段階(神話→中世のロマンス→悲劇・国民的叙事詩→近代小説→アイロニイ・風刺的傾向)論と、また神話に戻るという説を紹介した後に挙げている、梅原猛『中世小説集』、村上政彦「東京民話集」(本のかたちでは、ハルキ文庫から『トキオ・ウィルス』のタイトルで刊行されているようです)が気になりました。また、吉田知子「艮」(福武書店刊『お供え』収録)も面白そうです。 第3回で紹介されている、伊達一行『妖言集』は、筒井さんが詳しく紹介されているということもありますが、とても面白そうでした。 第4回では、石黒達昌さんの無題の作品(ハルキ文庫刊『新化』所収のようです)が面白そうでした。光岡明「行ったり来たり」(文藝春秋刊『薔薇噴水』所収)も味わい深そうで、気になりました。 *** 第2回の冒頭あたりで、大学教授たちによる新聞書評の裏側を評している部分も面白かったです。1993年頃に書かれた内容ですから、現在は状況が変わっていると信じたいものですが…。 そして第4回では、断筆宣言に関する話題が大きな部分を占めます。「だいたい自分の痛みをわかれ、わかれと他人に強制するやつに限って他人の痛みなど想像できたためしがない」という言葉は、まったくその通りと感じると同時に、あらためて自分自身も肝に銘じておかねばと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.18 21:59:33
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