2037746 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2023.11.05
XML

ウィーダ(村岡花子訳)『フランダースの犬』
~新潮文庫、1989年改版~
(
Oui’da, A dog of Flanders)

 ウィーダ(本名ルイズ・ド・ラ・ラメー、1839-1908)は、イギリス生まれで、フィレンツェに移住した作家。一時人気の絶頂に達するも、「晩年はその声価が落ち……窮乏のうちに生涯の幕を閉じた」(村岡花子さんによる解説。163)とのことで、波乱万丈の人生だったようです。
 本書は、訳者の村岡さんが感銘を受けた児童文学作品2編が収録された短編集です。

「フランダースの犬」酒飲みで乱暴な男のもとで残酷な労役に服してきた犬のパトラシエは、ある日、力尽きて倒れてしまいます。そこに通りがかった優しいジェハン・ダースじいさんと幼いネロに助けられ、元気を取り戻します。その後は、ダースじいさんと、そしてネロが長じてからはネロと、牛乳をまちに届ける仕事の手伝いをするようになります。そしてときは経ち…。教会のルーベンスの絵を見たいとあこがれ続け、自らも絵描きを志したネロと、老犬パトラシエの物語です。
 あまりにも有名な作品ですが、原作を読んだのは今回が初という…。
 パトラシアの視点で描かれるシーンが多く、よけいにダースじいさんやネロの優しさが伝わってきます。パトラシアは2人のしごとを手伝うようになりますが、それも自らすすんで、恩返しをしたくて手伝おうとし、そしてそれをとうとう受け入れる2人のやり取りも素敵です。

「ニューベルンゲンのストーブ」10人兄弟のオーガストは、貧しいながらも、家にある立派なストーブを大切にしていました。しかしある日、借金返済に苦しんだ父親から、ストーブを売ったと聞き、激怒します。商人たちがストーブを取りに来たのち、オーガストは彼らを追いかけ、ストーブの中に隠れて旅をします。わずかな食糧もなきなりそうになり、のどの渇きに苦しむオーガストがたどりついたその先は…。
 こちらも好みの物語でした。優しいお姉さんが怖くなるほどにオーガストが激怒するところや、持ち運ばれ、揺れるストーブの中で耐える場面など、印象的なシーンが多いです。なにより、末尾の一文が印象的です。

 良い読書体験でした。

(2023.06.13読了)

・海外の作家一覧へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2023.11.05 16:35:43
コメント(0) | コメントを書く
[本の感想(海外の作家)] カテゴリの最新記事


Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

My favorites♪ torezuさん
姫君~家族 初月1467さん
偏った書評ブログ mnmn131313mnmnさん
海砂のつらつら日記 kaisa21さん

Comments

 のぽねこ@ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
 シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
 のぽねこ@ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

© Rakuten Group, Inc.