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M17星雲の光と影

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2006.03.05
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カテゴリ:その他
1 「ガセネタ」ということばの由来

いうまでもなくこれは一連の馬鹿馬鹿しい騒動の当初、小泉首相の発したことばである。しかし、このことばの選び方はどうみても日頃の彼のワーディングとは異質なものである。彼の内側から自然に発せられたことばとは思えない。

彼はああ見えて意外にことばづかいには慎重である。とくにそれが相手を傷つける可能性のある場合にはかなりの注意が払われているように感じる。でも、それは彼が知性的な人物だということを意味するものではない(実際、彼は知性的な人間ではない)。この注意深さはある意味では「博徒」のそれに似ている。相手をとことんまで追いつめると、逃げ場を失った相手は最後は死にもの狂いで抵抗してくる。それを直前で察知し、巧みに逃げ場を用意する。そういう勝負師の勘にもとづく配慮である。身ぐるみはがす直前に「またのご来場をお待ちしております」と客人をきれいに帰す作法を彼は心得ているということである。

だから彼は「ガセネタ」というような激しいことばを自分からは使わない。では、なぜそんなことばを使ったのか。おそらくこれは誰かが使ったことばの受け売りだろう。それもそのことばを聞いたのは、答弁を行う直前のことだったと思われる。十分な消化吸収活動を行う時間的余裕のないままに、入ってきたことばがそのまま口からでてしまった。そのような経緯をたどったのではないだろうか。

では、このことばは誰の口から出たのか。武部?まさか。疑惑の当事者にその真偽を尋ねてそれを信用するほど彼は愚かではない。そのメールの真偽を客観的に判断できる人間に尋ねたに決まっている。おそらくは検察のトップレベルの人物であろう。

「国会で、こんなもんが出てきてるんだけど、これってそっちはつかんでるの。もしホンモノだとしたら、政権がふっとびかねないシロモノだよ、これは。至急調べてみてほしい。」
「首相、恐れながらそれはまったくの『ガセ』ですよ。こちらの証拠品のリストにはそんなもの入ってません」
「え、なんだって、なんていったんだ。」
「ガ・セ・ネ・タですよ、ガセネタ。どっかのごろつきジャーナリストのこしらえもんですよ。気にされる必要はないですよ。」
「そうか、わかった、ありがとう」
がちゃん。

というような会話が行われたと想定される。この電話の相手はいったい誰だったんだろう。これが素朴な疑問その1である。これは法務大臣が翌日の審議で「捜査当局はそのような情報を一切把握していない」という異例の答弁を行ったことにもつながっていく。本来「現在捜査中の事件であり、捜査に関する情報については一切明らかにすることはできない」というべきところである。その件に関して捜査当局が把握していないという情報は、ある意味では「その件を把握している」という情報よりも重要性が高い。容疑者はその件に関しては、それ以降絶対に供述を行わなくなるからである。現場の検事がそんな情報を積極的に伝えるはずがない。誰が首相の問い合わせに答え、誰が翌日の答弁の下準備をしたのか。なぜそれをマスコミは取材しないのか。不思議でならない。

2 前原党首の責任
 
党首討論の話。「このメールが真実であるかどうかは、銀行口座の金の流れを調査すればすぐにわかるはずではないか。」前原党首はこういったはずである。これは明らかな誤りである。こんな初歩的な論理の誤りをおかす人物に政党の代表を務める資格はない。なぜそういう意見が出てこないのだろうか。

かりに銀行口座を調べて5千万円の資金の動きが明らかになったとしても、それでメールの真実性は担保されない。当たり前ですよね、こんなこと。メールの真偽はメールそのものの精査によってしか明らかにすることはできない。もしも前原党首の論理が通用するとすれば、捜査当局の証拠捏造はいくらでも許されることになる。捏造された証拠に基づき捜査が行われ、「幸運にも」犯罪事実が明らかになったとすれば、その瞬間、捏造された証拠は「真実のもの」となるからである。松下政経塾のディベート教育のレベルやおそるべしである。

3 ライブドア事件の新聞報道は信用できるのか

どうもこの事件に関する新聞報道(といっても最近ろくに読んでいないんだけど)には信頼が置けない。彼らはもともとグレーゾーンを自らのビジネスエリアと認識していたはずである。これは常に「万が一」のことを考えて手を打っていたということだろう。特に違法、脱法行為に関しては、慎重に検討していたはずである。少なくともいざというときに合法と言い張るだけの準備を怠っていたとは考えにくい。第一、検察の捜査が「風説の流布」などという容疑から始まっているのもおかしい。これはほとんど見込み捜査だといっているのと同じではなかろうか。なぜ初めから粉飾決算で行かなかったのか。さらに新聞がおどろおどろしく伝えるほどには、どうもこの事案はそれほど大きな犯罪を構成するようには思えない。果たして公判を維持できる十分な証拠はあるのか。ひょっとすると裁判で無罪判決が出る可能性はないのか。その点についてもマスコミは何も検証しようとしない。これが第3の疑問である。

4 なぜ誰も検察の姿勢を問わないのか

今回の報道の論調は、すべて成金IT社長が一夜にしてその座を滑り落ち、留置所につながれたというストーリーに乗っかったものである。いったい「誰が」それを行ったかという視点がそこには欠けている。どうもこの立件の陰には「あの、やろう、ふざけやがって」というような検察担当者の私怨が感じられてならない。よく言えば正義感ということになるだろうが、検察というのは社会的な正義感を育成する組織ではないはずだ。彼らは物的証拠にもとづいて淡々と違法行為を摘発してくれればそれでいいのである。鈴木宗男、佐藤優の事件の時にもそうだったが、最近の検察には「世の風潮を正そう」というような妙に力みかえった正義感が感じられる。検察は「日本倫理確立委員会」ではない。世の風潮に乗って強引に立件したり、金まみれの風潮を正すために起訴したりするのは、検察本来の仕事ではないはずだ。しかし、誰もそのような検察の姿勢は問わない。まるで堀江に天罰が下ったような報道ぶりである。これはおかしくはないだろうか。報道は検察の姿勢を検証する必要はないのだろうか。

5 鳥インフルエンザの原因説

話は変わるが、鳥インフルエンザが世界中に拡大する兆しを見せている。そこでさまざまな原因が考えられているが、その一つに「渡り鳥原因説」がある。これっておかしいと思いませんか。

一見するともっともな気がするが、おそらくこの説を唱える人の頭の中にはこういうイメージがあると思う。バンコク支社に勤務する日本人商社マンA氏は日本に呼び戻される。3年間のタイ勤務を終えて日本の本社に戻る。栄転である。異国の地で苦労したかいがあったというものだ。彼は意気揚々と帰り支度を始める。しかし、帰国の数日前から体調がすぐれない。熱っぽく、体がだるく、節々が痛む。でも、まあ、飛行機の中で寝ていれば治るだろうと思って、機中では毛布をかぶって休んでいた。だが、その症状はだんだん重くなる。帰って自宅で寝込み、そのうち、その病気が家族に感染、そこから感染が徐々に拡大し、というようなストーリーである。同じことが日常的に海峡を越え、国境を越える渡り鳥にもあてはまるはずだ。だとしたら、渡り鳥があぶない。こういう考えのように思えるのだが、ちがっているだろうか。

え、それのどこがおかしいのとあなたはいわれるだろうか。たしかにおかしくはない。でもそれは渡り鳥が飛行機に乗って国境を越えるとしたら、ということですけどね。でも彼らは飛行機のチケットをもっていないし、機中で毛布にくるまって寝るわけにもいかない。致死率のきわめて高い病気に罹患して、どうやって自力で海峡を越え、国境を越えることができるのだろうか。わたしにはそれがわからない。鳥インフルエンザにかかった病気の鳥が国境を渡って飛んでこれるという根拠はどこにあるのだろうか。それよりはよほど、飛行機で空輸されるペット用や食肉用の鳥による感染のほうが確率は高くないですか。まさか科学者ともあろう人が、渡り鳥が飛行機に乗って飛んでくると思っているはずはないが、すくなくともインフルエンザに罹患した鳥が海峡を越えて日本に飛んでくる確率は限りなくゼロに近いと思うのだけれど、この推論はまちがっていますか。

なんだかわからないことだらけの世の中である。テレビや新聞から距離を置けば置くほど、このような疑問が増殖してくる。ひょっとしたら私の頭がおかしくなっているんだろうか。でも、こういう疑問をもつのは全然不思議ではないと思うのだけれど、私はまちがっていますかね。それが最後の私の素朴な疑問である。





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Last updated  2006.03.05 21:58:36
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和久希世@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光1(03/03) >「彼はこう言いました。「それもそうだ…
kuro@ Re:「チャンドラーのある」人生(08/18) 新しいお話をお待ちしております。
あああ@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光2(03/03) 非常に面白かったです。 背筋がぞわぞわし…
クロキ@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光2(03/03) 良いお話しをありがとうございます。 泣き…
М17星雲の光と影@ Re[1]:非ジャーナリスト宣言 朝日新聞(02/01) まずしい感想をありがとうございました。 …
映画見直してみると@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光1(03/03) 伊集院がトイレでは拳銃を腰にさして準備…
いい話ですね@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光1(03/03) 最近たまたま伊丹作品の「マルタイの女」…
山下陽光@ Re:大江健三郎v.s.伊集院光1(03/03) ブログを読んで、 ワクワクがたまらなくな…
ににに@ Re:非ジャーナリスト宣言 朝日新聞(02/01) 文句を言うだけの人っているもんですね ま…
tanabotaturisan@ Re:WILL YOU STILL LOVE ME TOMORROW(07/01) キャロルキングの訳詩ありがとうございま…

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