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ヒロガルセカイ。

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柊リンゴ

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2006/03/30
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白い壁に包まれた店内には、つやつやの果物が並んだタルトが
お行儀よくガラスのケースに入って、おすまししています。
取り出す笑顔の店員さんも、薄いピンクのワンピースに
クリーム色のエプロン姿。
髪には白いリボンを結んで、先の丸い木靴でちょこんと並びます。
ここは とある町のケーキ屋さん。
きれいなケーキとかわいい店員さんを前にして、
ちょっとお店には不似合いな・・おじさまがしきりに
照れておられます。
さ・どれにしようか。
どの子に声をかけようか。
おじさまは照れて・もじもじしています。

「おやじ。早くしろよ。俺はロールケーキって言っただろう。」
店員さんが驚きの声を上げました。
照れていたおじさまに ずんずん と歩み寄った高校生の男の子。
アッシュグリーンの髪にシャギーいれて。
ラフにパーマかかって、襟足はねて。
もう・まさにいまどきの男の子です。
「お前の言ったロールケーキがないから、どうしようか悩んでいたんだ。
 そう騒ぐな。」
「えっ。ここ、ロールケーキ無いの?」
男の子は店員さんをじっと見つめます。
店員さんはまたびっくりです。男の子は、雑誌に載りそうな顔立ちです。
小さい顔、きゅうとしまった顎の先、二重の大きな瞳が
いきなり店員さんを見るものだから。
  「はい、すみません。・・当店はタルトの専門で。」
「あ、じゃあ。」
男の子はじいいいっと、ガラスのケースを見つめます。
無意識なのか指を口に当てています。
隣のおじさまは、気になるようで。
「こら。おい。真夏。指、指。」
「?あ、ああ。おやじ、俺、このいっぱい果物載ったのにするわ。」
「そうか。」
おじさまは、人差し指を立てて
「1ホールください。」
少し頬を赤くしながら店員さんに笑いかけました。





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Last updated  2006/03/30 08:53:10 PM



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