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テーマ:癒しの情報館(1089)
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小さな砂浜に、
少しの磯岩、 そこに打ち寄せる波が、 水鉄砲のような飛沫を噴き上げる、 草原にいる子供が、 母親を振り返って笑う、 ドドッだって、 飛沫を噴き上げるときの音が、 おかしいらしい、 草原は砂浜に近いところほど、 草がまばらに生えている、 ここよ、 と母親は子供の横手を指さす、 おばあちゃんの店があったところ、 おじいちゃんが病気で亡くなったあと、 ずっと1人でやっていたの、 ふうん、 鼻を鳴らして、 子供は母親が指さしたところから、 視線を掬い上げながら旋回させた、 、 今の店より大きかったの、 300メートルほど先の高台を指さし、 子供は母親の顔を見上げた、 ううん、 もっとちっちゃい本屋でね、 学校から帰ると、 お母さんよくお店番したの、 棚からごそっとマンガ本を抜いて、 読みふけりながらね、 母親は視線を泳がしながら、 つかのま高台を凝視した、 浜辺からは見えないが、 小さな新しい街が広がっている、 そこに母親が1人でやっている、 小さな書店がある、 母親の夫は漁に出ていた、 あっ、ルビーが鳴いている、 耳がいいんだね、 お母さん聞こえないよ、 母親は、 自分と凄く仲良しだった柴犬を想う、 おばあちゃんと、 つまり、自分の母親と流された、 ルビーがお腹を空かせているよ、 だからもう帰ろうね、 屈んで子供に背中を向ける、 大事な話って何? 子供は母の背中に重なりながら訊いた、 5歳になったら話すね、 まだ早いみたいだから、 子供をおぶった母親は、 草原を疾風のように駆け抜ける、 何を思いだし、 振り払おうとしているのだろう。 よい子に読み聞かせ劇場はこちら◆志茂田景樹のホームページ・ 本
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