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2012.04.28
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 小さな砂浜に、

 少しの磯岩、

 そこに打ち寄せる波が、

 水鉄砲のような飛沫を噴き上げる、

 草原にいる子供が、

 母親を振り返って笑う、

 ドドッだって、

 飛沫を噴き上げるときの音が、

 おかしいらしい、

 草原は砂浜に近いところほど、

 草がまばらに生えている、

 ここよ、

 と母親は子供の横手を指さす、

 おばあちゃんの店があったところ、

 おじいちゃんが病気で亡くなったあと、

 ずっと1人でやっていたの、

 ふうん、

 鼻を鳴らして、

 子供は母親が指さしたところから、

 視線を掬い上げながら旋回させた、

 今の店より大きかったの、

 300メートルほど先の高台を指さし、

 子供は母親の顔を見上げた、

 ううん、

 もっとちっちゃい本屋でね、

 学校から帰ると、

 お母さんよくお店番したの、

 棚からごそっとマンガ本を抜いて、

 読みふけりながらね、

 母親は視線を泳がしながら、

 つかのま高台を凝視した、

 浜辺からは見えないが、

 小さな新しい街が広がっている、

 そこに母親が1人でやっている、

 小さな書店がある、

 母親の夫は漁に出ていた、

 あっ、ルビーが鳴いている、

 耳がいいんだね、

 お母さん聞こえないよ、

 母親は、

 自分と凄く仲良しだった柴犬を想う、

 おばあちゃんと、

 つまり、自分の母親と流された、

 ルビーがお腹を空かせているよ、

 だからもう帰ろうね、

 屈んで子供に背中を向ける、

 大事な話って何?
 
 子供は母の背中に重なりながら訊いた、

 5歳になったら話すね、

 まだ早いみたいだから、

 子供をおぶった母親は、

 草原を疾風のように駆け抜ける、

 何を思いだし、

 振り払おうとしているのだろう。
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最終更新日  2012.04.29 17:02:00
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