テーマ:特撮について喋ろう♪(4369)
カテゴリ:日々特撮&怪獣
以下映画「小さき勇者たち ガメラ」について内容をネタバレして最後まで書いていきますので映画未見の方はご注意を。
この作品は怪獣映画ファンであれば観て損したというような作品ではないので よければ映画をみてから読んでいただけると嬉しいです。 ↑定番の超全集は要チェックですね。今回はややページが薄めですが・・。 「小さき勇者たち ガメラ」は子どもにとっての死ぬこととが印象深く描かれた作品です。 1.1973年におけるガメラの自爆 2.主人公透の母親の事故による死 3.隣の麻衣の病気による死(の予感) 4.怪獣ジーダスによる普通の人々の不条理で突然な死 5.トトが自爆して死ぬのではという不安 そんな愛する両親、身近な人の死あるいは死の予感は子どもにとっての大きな恐怖です。 1年前母を事故で亡くした透は自分をトトと呼んでいた母の幻影をみます。この際使われる母親の描いたであろうメニュー横のかわいらしい絵が悲しさを強く感じさせます。 ジーダスは母親を死なせた自動車事故と同じく突然の不条理な死でありジーダスが行き場を失った人々を食べるシークエンスはこの上なくおそろしいシーンです(ただジュブナイルであるこの映画としては行き過ぎた描写だと思います、トラウマ必至ではないでしょうか)。 今回のガメラは小さく最初の戦いでは体長でいえば18倍もあるジーダスとの対決であるわけでガメラが負ける(=死ぬ)かもしれないという不安を強く感じさせます。 だからこそ志摩パールブリッジ上での最初の戦いがサスペンスにあふれています。俯瞰でみせるここでの絶対劣勢からの火球によりジーダスが吹き飛ぶ逆転劇はカタルシスのある序盤の見せ場になっています。 その後の名古屋決戦においてもガメラを死なせられないという思いから透は行動するのですがやがてそれは赤い石をとどけるための子どもたちのリレーになります。 逃げる人と反対にガメラのもとへむかう幼い子どもたちはこの映画のタイトル「小さき勇者たち」であり非常に感動的です。幼いガメラを含めてのこのタイトル、いいタイトルになったと思います。 クライマックスであるツィンタワーでの攻防も前半以上に50m対30mという小さい怪獣同士の戦いであることを生かした面白い眺めになっています。 こどもたちの協力によって巨大化したガメラ(ガメラらしくてよし)が回転ジェットで脱出自爆の兆候のみえる劣勢の中「死んじゃ駄目だ」という透の願いにこたえるようにジーダスを吹き飛ばすシーンは「ガメラがんばれ」「ガメラ負けるな」という非常に「ガメラ映画」らしい情動をかきたててくれるシークエンスになっています。 最後の一撃によりジーダスが爆発炎上四散するシーンはよくある怪獣撃破シーンでありながら子どもたちの願いを聞き入れて生き残ったガメラの姿と合わせて感動的だったりするのです・・。 というわけで最初から最後まで涙腺ゆるみっぱなしのガメラでしたがここからは細かい部分を。 怪獣について。トトはいろいろ言われていますがこれはこれでよいのではないでしょうか。 橋の上での決戦時の上目遣いの目はとてもキュートでかわいいと思います。 このような作劇の中、応援したくなるガメラとしてはこの幼く頼りなさげなガメラもありかなと。映画終了後、劇場のロビーで小さな子どもたちがガメラの大きなぬいぐるみに群がっていたのはちょっとゴジラではみられない光景かも。 一方のジーダス。爬虫類の特徴を活した(そのまま?)魅力的な怪獣ですね。お気に入りの一匹になりました。 えりまきとかげの怪獣ということで当然アレをおもいだすのですが山の端からの初登場シーンも>アレを想起させますね。凶暴で怖い印象のジーダスですがその身長、トトとの戦いぶりからすると実は弱い、「ゴジラファイナルウォーズ」のジラなみに弱いのではという疑念もわきあがったのですが・・・。 あとギャオスは一応新造形だったみたいですね。 映画としての作品についてですが家族や友達という子どもの目線、デティールが優しいですね。隣の年上の幼馴染麻衣ちゃんがよい感じ。最後はお父さんと協力してという流れもよいと思います。 怪獣映画としては異色な上野洋子(「あずまんが大王」の音楽も担当されていましたね)の起用も独特なケルトな音楽がストーリーにマッチしていたと思います。 上記の通りよく出来たジュブナイルであると思う反面、演出構成において難があると思います。 それは卵の台座である赤い石に関る部分でこの石の力が劇中描写されていません。やや長く感じられる前半のガメラと子どもだちの交流部分に石の不思議な力の描写をいれておけたらというのが感想です。 そこがないために麻衣の手術のお守りにしようとする事もガメラに赤い石が必要なんだとかいう考えも不自然に感じられ以後の流れが自然に感じられません。 よって子どもたちが石をトトに届けようという決心がいまひとつ得心できずに感動に結びつかないのです。 また、この映画の肝といってもよいこどもたちが順番に石を手渡してとどけようとする感動的なシークエンスも同じようにそのきっかけになる画でもあればよかったのですが唐突で意図はわかるのだけれど納得できなかったりします。 またラストの子どもバリケードも国の人間がガメラを自分たちの都合で実験に使うとか残酷なことをするとかの伏線がないので透が別れになると思いながらガメラを行かせるシーンに感動が伴ってこないのです。 何でも説明すればいいというわけではありませんがこのあたりの納得させるデティールやシーンがきっちり作ってあれば作品が優れたものになっただろうにと思う分非常に残念です。 田崎監督以下作り手が真面目にガメラ=こどものための怪獣映画を作ろうという意思がつたわるだけに続編ができることを願ってあえていわずもがなと思いつつ、真面目に書かせていただきました。 トトで続編が観たいなあ。 ↑超合金のガメラ。差し替えで輸送バージョンや負傷も再現。 卵と生まれたてトトと問題の台座も付属します。重量感がいい感じ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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