テーマ:お勧めの本(7273)
カテゴリ:昭和恋々
親が、生きものはかならず死ぬから駄目だといつも言っていたのを思いだすからだ。 しかし、考えてみれば、生きものはみんな死ぬという言い方もおかしなもので、そんなことは四つや五つの子供だって先刻承知している。 けれど、子供のころは、なんだかその言葉に妙な重みがあって、黙って納得していたのである。 だから、よその家に遊びにいって、日当たりのいい縁側においてある金魚鉢に泳いでいる金魚たちを、きれいだと思うことはあっても、羨ましいとか、欲しいと思ったことはない。 いつかは死ぬのだと考えながら眺めていた。(略) 「昭和恋々」久世光彦 私の子どもの頃、犬も猫も飼ったことがなかったけれど、唯一、金魚は飼っていた。 それは、盆踊りの夜店で、子供が買ってきたものだった。 家には、ガラスの金魚鉢がなかったので、大きな瓶に入れていた。 ガラスなら、横から泳ぐ姿が見られるのにと子供の私たちは、瓶(カメ)を覗き込みながらら少し不満だった。 しかし、最近分かったことだけれど、金魚は、上から見るように品種改良されたものだ。 今のようにガラスの水槽が無かった時代、人々はつねに金魚を上から鑑賞していました。 これを「上見(うわみ)」と言います。 中国で誕生して以来、金魚は「上見」にふさわさしい形に改良されてきました。 「美の壷」より。 ***** 以前、骨董市に行った時、古い四角な金魚鉢を見つけた。 迷ったすえ、買わなかったけれど、買っておけばよかったと、夏が近づく度に後悔している。 ◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。 ★6月1日*「純情きらり」と私の昭和:しょいこ【背負子】 *UP ・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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