さおだけ屋はなぜ潰れないのか
タイトルと内容はほとんど関係がない。サブタイトルの「身近な疑問からはじめる会計学」の方が内容を正確に表している。
著者は公認会計士であるが、本書は、会計のノウハウが体系的に述べられているわけではない。ビジネスマンなら誰もが承知しているごく当たり前のことを、ごく当たり前に書き連ねてあるだけだ。にもかかわらず、本書がベストセラーとなったのは、このユニークなタイトルのおかげもあるのだろうが、われわれが当たり前のことを日々の忙しさにかまけて無視しているからではないだろうか。
たとえば、「50人にひとり無料」と「2%割引」は、どちらがお得か?
金額的にはまったく等しい。にもかかわらず、多くのお客さんが「50人にひとり無料」に魅力を感じ、会社は売上を伸ばしたそうである。(187ページ)
ほんのちょっとした数字のマジックで、ビジネスはガラリと変わってくる。
著者は、「ある特定の数字を定期的におさえること、これが分析の極意」(197ページ)と語る。これこそ、ITが得意とすることである。IT技術者として、新規さに目を奪われることなく、この大切な事項を忘れないようにしたい。
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