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カテゴリ:書籍
月から地上を眺めた時に見える人工物は万里の長城とオランダの堤防だけ――人類で初めて月面に到達したアポロ 11 号のニール・アームストロング船長がこう言ったとか言わないとか。子どもの頃、たしかに聞いた話だ。本書の話はここから始まる。 だが、この話は、2003 年に中国人初の宇宙飛行士となった楊利偉によって否定される。地球軌道上からでも万里の長城は見えなかったのだ。 話は 17 世紀に遡る。天文学者ケプラーは、月に知的生命体が住んでおり、地球を観察していると想像する。彼らは高性能な望遠鏡を使って地球の人口建造物を見ているのだという。この話は 19 世紀末の SF「宇宙戦争」にも受け継がれる。火星人が地球を観察しているという、あの話だ。 話は現代に戻る。 武田さんは皮肉を込めてこう綴る。「『アメリカ人の宇宙飛行士がでっちあげたでたらめな話を、中国人の宇宙飛行士が勇気をもって正した』という、すぐれて愛国的な、新たな長城神話の完成です」(194 ページ)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.01.06 15:58:57
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