6521680 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

パパぱふぅ

パパぱふぅ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

フリーページ

カテゴリ

バックナンバー

2012.01.06
XML
カテゴリ:書籍



万里の長城は月から見えるの?

万里の長城は月から見えるの?


 「アメリカ人の宇宙飛行士がでっちあげたでたらめな話を、中国人の宇宙飛行士が勇気をもって正した」という、すぐれて愛国的な、新たな長城神話の完成です。(194ページ)

著者・編者武田雅哉=著
出版情報講談社
出版年月2011年10月発行

月から地上を眺めた時に見える人工物は万里の長城とオランダの堤防だけ――人類で初めて月面に到達したアポロ 11 号のニール・アームストロング船長がこう言ったとか言わないとか。子どもの頃、たしかに聞いた話だ。本書の話はここから始まる。
著者は、北海道大学教授で中国文化・文学・芸術などを研究している武田雅哉さん。ウィットに富んだ面白い文章だ。

だが、この話は、2003 年に中国人初の宇宙飛行士となった楊利偉によって否定される。地球軌道上からでも万里の長城は見えなかったのだ。
意外なことに、中国政府はこの事実を重く受け止め、宇宙から万里の長城は見えないということを教育に盛り込んだ。

話は 17 世紀に遡る。天文学者ケプラーは、月に知的生命体が住んでおり、地球を観察していると想像する。彼らは高性能な望遠鏡を使って地球の人口建造物を見ているのだという。この話は 19 世紀末の SF「宇宙戦争」にも受け継がれる。火星人が地球を観察しているという、あの話だ。
武田さんは、こうした物語を背景にして「月から万里の長城が見える」という話につながったのではないかと想像する。

話は現代に戻る。
月ではなく、スペースシャトルや国際宇宙ステーションが跳ぶ機動から万里の長城が見えるかというと、大方の意見は見えないというところに落ち着く。皮肉なことに、人工衛星からは万里の長城こそ写らないものの、中国の道路や都市といった人工建造物は写真に収められている。

武田さんは皮肉を込めてこう綴る。「『アメリカ人の宇宙飛行士がでっちあげたでたらめな話を、中国人の宇宙飛行士が勇気をもって正した』という、すぐれて愛国的な、新たな長城神話の完成です」(194 ページ)。
「‥‥こうして 2049 年、わが国の建国 100 周年を記念する愛国的事業として、長城に沿って強力な電飾が設置されて以来、偉大な世界遺産『万里の長城』は、月面から肉眼で見る、唯一の人工建造物となったのである」(207 ページ)。










お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012.01.06 15:58:57
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.