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2013.06.19
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カテゴリ:書籍



誰がJ-POPを救えるか?

誰がJ-POPを救えるか?


 ソニーがコドモたちの夢や願いよりも、自分たちの会社の都合ぞ優先させた時から、J-POPは水先案内人を失い、失速状態になったのだ。(33ページより)

著者・編者麻生香太郎=著
出版情報朝日新聞出版
出版年月2013年01月発行

著者は、東大文学部在学中から、森進一、小柳ルミ子、野口五郎、小林幸子、TM NETWORK などに作品を提供してきた作詞家で、エンタテイメントジャーナリストに転身した麻生香太郎さん。
本書は、架空の音楽業界人ワカマツ氏を通じてみた、日本音楽会の今昔の物語という構成をとっている。

私は、オリコンがなかった時代から「ヒット曲」を聞くのが好きだった。しかしオリコンに K-POP が目立つようになってから、上位曲は聴くに堪えないものばかりになった。最近では AKB とジャニーズばかりで、2番手がいないことを心配している。

麻生さんは、冒頭、「今、真剣に手を打たないと、家電業界がアッという聞に韓国、中国勢に追いぬかれたように、音楽業界も外資(ワーナーやユニバーサルなど)に見限られシンガポールや上海に日本本社を移転されてしまうだろう」(5 ページ)と警鐘を鳴らす。同感である。
さらに「さらばソニーの次は、さらばドコモになるのだろうか。日本を代表する名門メーカーが、揃いも揃って『どれだけお客様に喜んでもらえるか』より『どれだけ儲けられるか』に力点を置く。いまの日本の産業構造とモラルはいったいどうなっているのか。
まさに沈みゆく日本そのものではないか」(155 ページ)と追い打ちをかける。

麻生さんは、「コドモたち、若者たちは、マスコミを見放した」(232 ページ)と指摘する。
「人間には、その単調な日々の繰り返しだけでは、満足できない部分があり、非日常的な「感動」というファクターが必要になる。ここが、動物との、いちばんの違いだ」(228 ページ)としたうえで、その感動を提供するのが J-POP であり、本や映画であるというのだ。こうした感動を提供することをしなかったマスコミは、淘汰されていくという。
いまの若者のマスコミ離れには幾つかの要因があるのだろうが、これもそのひとつなのだろう。

ただ、暗い話題ばかりではない。
クリプトンのボカロには将来性がある。これは知らなかったのだが、私も学生時代に傾倒したシンセサイザーの先駆者、冨田勲が、東京オペラシティで初演したビルボードクラシックスの「イーハトーヴ交響曲」には、初音ミクを招聘したという(184 ページ)。さすがは世界のトミタである。
ネット配信も元気だ。麻生さんは配信がネイティブである世代を評して、「やがて来る平成 10 年代生まれが社会人になる頃には、J-POP も新しくよみがえる予感がする」(251 ページ)と語る。

そして最後に、「福島原発の後始末、来るだろうといわれている大地震、心配の種を挙げると確かにキリがないが、高度成長とバブル期を知らない、いわゆる『ミュージックビデオの原点、マイケル・ジャクソンを知らない世代』が、音楽マーケットの作り手になったとき、何かが根本から変わる予感がする」(258 ページ)と締めくくる。

ここまで読んで分かったのだが、麻生さんは J-POP や日本のエンタメ業界のことを心配しているのではなく、わが国を心底愛しているのだ。
平成 10 年代生まれといえば、私の子どもの世代だ。昭和の時代の元気な歌謡曲を子どもに歌って聞かせ、夢や冒険に満ちた非日常を楽しむことを伝えていきたい。










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最終更新日  2013.06.19 18:38:46
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