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カテゴリ:書籍
著者は、文部科学事務次官を務め、天下り斡旋の責任をとって文部科学事務次官を辞職した前川喜平さん。書名になっている「面従腹背」は、彼の座右の銘だという。 けれども、冒頭から矛盾が見られる――たとえば、「公務員は匿名」であり、「私個人の名前の入った文書であっても、それは私個人の意思を表したものではない」と記す一方で、後輩官僚に対しては「自分が尊厳のある個人であること―(中略)―を忘れてはならない」(4 ページ)という相矛盾したメッセージを送っている。 前半は、ご自身が携わってきた文部科学行政を振り返り、論評を加えている。ユネスコの政治化や、国歌斉唱・国旗掲揚については学習指導要領に記されているのだから私立も同じように対応しなければいけないのに効率だけ厳しく指摘されるなどの文科行政の矛盾は、たしかにご指摘の通りである。 こうした矛盾やギャップがどこから来るのか――「内心においていかなる法も規律も認めず、国家に従属したり国家の部分として存在したりすることを拒否するという意味において、私はアナキストだったとも言える」(24 ページ)という独白を読んで納得した。前川さんは、法令遵守を基盤とする民主主義、科学的合理主義とは相容れない方なのだ。 そして第4章は、京都造形芸術大学の寺脇研氏、毎日新聞の倉重篤郎氏と 3 人で、加計学園問題についての対談となっている。 前川さんは、巻末で Twitter をやっていたことを白状し、いまは非公開にしていると結んでいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.09.02 19:22:40
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