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カテゴリ:書籍
著者は、天文学者・宇宙物理学者で、『お父さんが話してくれた宇宙の歴史』など、一般向けの科学書を多く著してきた池内了さん。 日本では、唐から輸入した宣明暦を800年も使ってきたため、江戸時代には実際の天文現象とずれてしまい、日食も月食も予測することができなくなっていた。渋川春海は幕府に働きかけ、1684年に改暦を行った。八代将軍・吉宗は、さらに優れている西洋の暦法の導入を試みるが成功せず、1754年に土御門家が宝暦暦への改暦したことで、かえって暦が劣化してしまった。そこで、1797年に高橋至時と間重富によって寛政暦が作成された。 長崎通詞の志筑忠雄は、西洋の天文学・物理学入門の文献を『暦象新書』(1798~1802年)として発行し、ニュートン力学を日本に紹介した。忠雄はニュートン力学にもとづく思考実験により、カントやラプラスよりも早く、太陽系形成論を組み立てた。また、人工衛星を「仮星」と呼び、どれくらいの速さになれば人工衛星が実現できるかを計算してみせた。さらに、オランダ語の科学書を翻訳する過程で、引力・求心力・遠心力・重力・分子など多くの物理用語を生み出した。 大坂で大名貸しを営む升屋の番頭である山片蟠桃は、『暦象新書』の写本を読み込み、「宇宙には点々と恒星が分布し、恒星の周りにはさまざまなタイプの惑星が付属し、その惑星には人間が生きている星もたくさんある」という先進的な宇宙像を提示した。 コペルニクス、ケプラー、ニュートンといえば、ヨーロッパの科学革命の嚆矢である。だが、コペルニクスの『天体の回転について』を本木良永が翻訳したのは、その出版から250年も後のことである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.10.16 13:55:34
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