カテゴリ:音楽と映画・ドラマ・TV
なんと、監督賞では、『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー李安監督が受賞。 アジア人初の監督賞受賞とのことです。おめでとうございます。 アン・リー監督は台湾出身で、『ウエディング・バンケット(喜宴)』(93年) 2000年の『グリーンデスティニー(臥虎藏龍:英語では、Hidden Dragon, Crunching Tigerだったはず)』 などのぼくも大好きな作品を監督していて、彼の活躍はとても嬉しいです。 『グリーンデスティニー』では、年アカデミー賞で外国語映画賞ほか4部門で受賞していましたが、今回は「監督賞」という快挙。 『グリーンディスティニー』がなければ、映画『Hero』も『Lovers』も無かったと思うので、アン・リー監督が、ハリウッドで認められたというだけではなく、アジア・中国の映画製作にも影響をあたえてくれていたわけで、 世界の映画の流れがアジアに少しシフトしているのかなぁ、と思いました。 ところで、ぼくはまだアカデミー賞ノミネート作品など、全然観ていないんですが、 『ブロークバック・マウンテン』は、男性同士の同性愛を描いた映画だそうです。 作品賞には『クラッシュ』で、これは人種差別を取り上げた映画。 主演男優賞は『カポーティ』 のフィリップ・シーモア・ホフマン。 この映画は、「ティファニーで朝食を」を書いた作家トルーマン・カポーティに関する映画。犯罪ノンフィクションという新たなジャンルを切り拓いたと言われる傑作『冷血』を書き上げるまでを描いた伝記ドラマらしい。 このほか、作品賞にノミネートされていたが、いずれも主要部門受賞をのがしているのが、 『グッドナイト&グッドラック』は、1950年代にアメリカで吹き荒れた「赤狩り」をテーマにした映画。 そして、みなさんご存知のスピルバーグ監督の『ミュンヘン』は、ミュンヘン・オリンピックで、パレスチナ・ゲリラが選手村に侵入し、イスラエル選手団を殺害した事件と、その後のパレスチナ・ゲリラに対する報復として選ばれたイスラエルの暗殺部隊に関する映画。 テロの連鎖をテーマにした映画で、アメリカのユダヤ系市民団体数万人の署名を集めて、「パレスチナ・ゲリラを美化しすぎている」「テロを正当化するものだ」といって、ノミネートの取り下げを申し入れていた作品。 アカデミー協会はノミネートをとりさげなかったが、 パレスチナ側からも、「イスラエル寄りの映画」と、双方から批判されていた作品。 アカデミー作品賞、監督賞にノミネートされた5作品は、このように 同性愛 人種差別 犯罪ノンフィクション 赤狩り テロ と、アメリカでは、保守層が多く、正面きって議論しにくいテーマ、物議をかもし出し、賛否両論の起こりえるテーマを取り上げていたので、大変興味深い。 おおげさな、SFXを使った、宇宙、近未来、歴史絵巻などの大作が大流行だったこの数年のハリウッドが、きわめて社会的メッセージの高い作品をノミネートしていたのは、アメリカ社会の空気の変化を表すものなのだろうか。 主要部門のもうひとつ、主演女優賞は、『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のリース・ウォザースプーン。 この映画は、カントリー・ミュージック界でもっとも大きな影響力を誇っていたといわれる。ジョニー・キャッシュについての自伝的映画。 ジョニー・キャッシュは単なるカントリー・ミュージシャンではなく、その音楽にはロックンロールの反骨精神やフォーク・ミュージックの要素、失恋や切望のテーマあふれている音楽を作っていたそうだ。 それで、リース・ウォザースプーンは、ジョニー・キャッシュの恋人役で、吹き替えなしで歌も歌ったことが高評価の一因か。 残念ながら主要部門のノミネートがなかった『SAYURI』ですが、美術賞、衣装デザイン賞、撮影賞は受賞したそうだ。 長編アニメ部門にノミネートされていた宮崎駿監督の「ハウルの動く城」は残念ながら受賞を逃した。 また、先日、ニュース23だったと思うが、テレビ番組でやっていた 広島の被爆者を追ったドキュメンタリーで、短編ドキュメンタリー部門にノミネートされていた日系三世のスティーブン・オカザキ監督の「ザ・マッシュルーム・クラブ」も受賞を逃した。 今年のアカデミー賞は、 アジア人の活躍 社会的なテーマを扱った力作 が、キーワードか。 みなさんは、どの映画が観たいですか? ぼくだったら、そうだなぁ。。。。 トップの写真は、主演女優賞のリース・ウィザースプーン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[音楽と映画・ドラマ・TV] カテゴリの最新記事
|
|