万雑665_中臣氏・藤原氏の系譜で万葉集に歌がある人(中臣宅守2)
次も、中臣宅守(中臣東人の子、鎌足の曾孫)の歌で、流罪先の越前国で作った40首の歌の中の5首目から9首目の5首(3731~3735)になります。
3731_「思ふ故に逢ふものならばしましくも妹が目離れて我居らめやも」
※_「思えば逢えるものだったら、ほんのしばらくでも、私はあなたから離れいるだろうか」と歌っています。
3732_「あかねさす昼は物思ひぬばたまの夜はすがらに音のみし泣かゆ」
※_「(あかねさす)昼は物思いし、(ひぬばたまの)夜は夜通し声に出して泣けてくるのです」と歌っています。
3733_「我妹子が形見の衣なかりせば何物もてか命継がまし」
※_「あなたのこの形見の衣がなかったら、いったい何によって命をつなごうか」と歌っています。
3734_「遠き山関も越え来ぬ今更に逢ふべきよしのなきがさぶしき」
※_「遠い山や関も越えて来た。今はもう逢うべき手立てのないのが寂しいことよ」と歌っています。
3735_「思わずもまことあり得むやさ寝る夜の夢にも妹が見えざらなくに」
※_「思わずに本当にいられるものだろうか。寝る夜の夢にも、あなたが見えないことはないのに」と歌っています。
<記事>
中臣氏;
中臣東人(済)、中臣女郎、中臣武良自、中臣宅守
中臣清麻呂(済)、中臣部足国
藤原氏;
藤原鎌足、藤原宇合、藤原夫人(円方女王)、藤原八束、藤原郎女
藤原麻呂、藤原久須麻呂、藤原房前、藤原光明子、藤原清河
藤原仲麻呂、藤原永手、藤原部等母麻呂、藤原執弓
<備考>_中臣氏・藤原氏系図
以上