万雑673_中臣氏・藤原氏の系譜で万葉集に歌がある人(中臣宅守8)
次は、中臣宅守(中臣東人の子、鎌足の曾孫)が花鳥に寄せて思いを述べて作った歌7首(3779~3785)です。
3779_「わがやどの花橘はいたづらに散りか過ぐらむ見る人なしに」
※_「私の家の橘の花は、空しく散り果てているだろうか、見る人もないままに」と歌っています。
3780_「恋ひ死なば恋ひも死ねとやほととぎす物思ふ時に来鳴きとよむる」
※_「恋ひ死ぬなら恋に死ねというのか、ホトトギスが、物思いする時にやって来て鳴き声を響かせるのは」と歌っています。
3781_「旅にして物思ふ時にほととぎすもとなな鳴きそ我が恋まさる」
※_「旅にあって物思いする時に、ホトトギスよ、やたらと鳴いてくれるな、私の恋が募るではないか」と歌っています。
3782_「雨隠り物思ふ時にほととぎす我が住む里に来鳴きとよもす」
※_「雨に降りこめられて物思いする折も折、ホトトギスが、私の住む里にやって来ては鳴き声を響かせる」と歌っています。
3783_「旅にして妹に恋ふればほととぎす我が住む里にこよ鳴き渡る」
※_「旅にあってあなたに恋していると、ホトトギスが、私が住む里で、このあたりを鳴いて渡っている」と歌っています。
3784_「心なき鳥にそありけるほととぎす物思ふ時に鳴くべきものか」
※_「思いやりのない鳥だったのだ、ホトトギスは。物思いする時に鳴いたりしていいのか」と歌っています。
3785_「ほととぎす間しまし置け汝が鳴けば我が思ふ心いたもすべなし」
※_「ホトトギスよ、しばらく間を置いてくれ。お前が鳴くと、私の思う心はどうにもならないのだ」と歌っています。
以上で中臣宅守の歌は終わりです。
<記事>
中臣氏;
中臣東人(済)、中臣女郎、中臣武良自、中臣宅守(&妻;狭野弟上娘子)
中臣清麻呂(済)、中臣部足国
藤原氏;
藤原鎌足、藤原宇合、藤原夫人(円方女王)、藤原八束、藤原郎女
藤原麻呂、藤原久須麻呂、藤原房前、藤原光明子、藤原清河
藤原仲麻呂、藤原永手、藤原部等母麻呂、藤原執弓
<備考>_中臣氏・藤原氏系図(改)
以上