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カテゴリ:ダウン症関連資料
ダウン症の子をもって 著者は、著名な経済学者です。 私がこの本に興味を持ったのは、私も生後4ヶ月になるダウン症の息子を持っていることに加えて、機械設計を生業としているので、同じ数字を扱う経済学者が、障害を持った息子をどのように見て、どのように感じたのかについて知りたかったこともあり、この本を買いました。 また、先日読んだ「幸せを見つけてダウン症の子どもたち」を書かれた方がこの本に関してコメントを述べられていたので、そのつながりもあり購入しました。 この本では、ダウン症が世間一般にまだあまり認知されていない頃から、家族全員で試行錯誤で育てられた様子がよく描写されていました。 著者のご子息は、ダウン症の中でも重度の部類にはいるとのこと。 この本を書かれた当時20才になっても、まだ言葉がうまくしゃべれない状態だったと書かれています。 障害者に対する社会の認識が変わったのは比較的最近だそうで、それまでは重度の障害者は学校にさえ入れなかったそうです。 毎年4月になると、学校へ入れたい一心でかなりの努力をされるのですが、それがいつも徒労に終わる時の母親の気持ちがとても切なく描かれていました。 私が、この本を読んで一番強く感動したのは、母の子どもに対する愛情についてでした。 実際、この本の元となったのは、話せない子どもの様子を記録する為に、施設と家庭とのやりとりを担った80冊以上にも及ぶ連絡帳でした。 そのほとんどを母親が書いています。 例えば、想像を絶するいたずらをする子どもに対してのいろいろな感情や葛藤が詳しく描かれています。 そしてその子どもに対して、母も幼い兄も、もちろん著者の父も信じられないくらいとてもやさしい。 この本を読んで、理屈ではない母の愛情に胸を打たれました。 こんなにも、人間1人を育てることに愛情を注いだ本を読むのは これが初めてです。 まるで自分がそのダウン症の子どもの立場から、親に愛情を注がれているような錯覚にさえ陥りました。 かなり遅いながらも、確実に成長していく息子さんとそれを見守る家族の絆が、息子さんの成長とともに だんだんと強くなっていくところが大変感銘を受けました。 本当に、人間って素晴らしい。 もちろん、この本に書かれているようなきれいごとだけでは無いことも冒頭で著者自身が言われている通り。 私もどれだけの時間と愛情を、我が子に注げるのか定かではありませんが、片時も休むことが出来ない母親の気持ちが私には大変参考になりました。 そして、愛情を注げば注ぐほど、ダウン症の子は答えてくれるんだという期待をさせてくれたことも。 経済学者である著者は、社会的に見た現在の日本を痛烈に批判しておられるとのことで、この本にもその考えの一端が述べられていましたが、機会があればぜひこれらの著書も読んで見たいと思いました。 この本は私にとって、ダウン症児を育てる母親の視点からまず考えさせられ、そのことから今後の自分の育児のやりかたをさらに考えさせられる一冊になりました。 読んでよかったです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年08月23日 11時39分25秒
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