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テーマ:洋楽(3317)
カテゴリ:70年代洋楽
ロサンゼルス出身のバンドであるナックは、クラブで演奏中の所を見出され、契約に当たっては13のレコード会社が争奪戦を繰り広げたと言われている。 70年代の音楽産業において、「第二のビートルズ」を探す事は業界人にとってのひとつの課題だったが、ビートルズと同じ編成であり、ストレートなビートポップスを得意とする彼らは、その候補として大いに注目を浴びた。 彼ら自身もビートルズの大ファンで、彼らがテレビの前でとるポーズは、「ビートルズがやってくるヤア!ヤア!ヤア!」でのビートルズの姿そのものだったという。 彼らがアビイロード第2スタジオに足を踏み入れた時、感激のあまり口がきけなくなったというハナシもあるとか。 彼らのデビューシングルである「My Sharona」は、1979年に6週間全米No.1という爆発的ヒットを記録。 ビルボード誌では1979年度の年間ナンバー1に輝いた。 現在でも様々な形で聴き継がれる不滅のスタンダード・ナンバーである。 ドタバタして騒々しいドラムとそれに乗っかるギターとベースの強烈なリフは、有無を言わせぬインパクトを持ち、ここに「マ・マ・マ・マイーシャローナ」というメロディが加わった時、ロック史に残る名フレーズが完成する。 ダグ・フィッシャーのコミカルなボーカルも、個性的でありながらとても親しみやすいもので、まさしく万人向けのキャッチーポップスと呼ぶにふさわしい。 プロデューサーが70年代ポップスの職人マイク・チャップマン(スウィート、スージー・クアトロ、ブロンディ…etc)というのも妙に納得。 ただし、楽曲の作り自体は思いの他単調で、同じフレーズをただ繰り返すだけの構造は、アホと紙一重とも言える単純明快さだが、これこそがポップスという大衆音楽の原点でもある。 シンプル(単純)な楽曲とすき間だらけのサウンドは、ビートルズ及び60年代ビートポップスそのものだが、ディスコ、AOR、角の取れた産業ポップスなどが全盛だった70年代末のアメリカの人々に、ロックンロールの持つ初期衝動とポップスの楽しさの原点を思い出させた、という意味ではそれなりに意義のある事だったとは思う。 そして、この曲が今聴いてもほとんど古さを感じさせないというのも、ゆるぎない事実…だと思う(笑)。 この曲の印象ばかりが鮮烈なため、一般的には「My Sharona」以外の曲はほとんど無視されている、というかそれしか知られていない、というのがこのバンドの永遠の宿命であるが、「My Sharona」も収録されている彼ら1stアルバム「Get The Knack」はビートポップスの名曲がズラリと並んだ傑作であり、これを聴けば「ナック=My Sharonaだけ」という評価が間違いだという事はイヤでも分かる筈。 また'98年に発表した「Zoom」もパワー・ポップの隠れた名盤として評価の高い一枚。 このバンドのドラマー(だった)ブルース・ゲーリーは、2006年8月22日、癌によりロサンゼルスの病院で死去。54歳だった。 なお、クレジット等はされていないが、当時のレコーディングで「My Sharona」のドラムを叩いているのはブルースではなく別のドラマーだったという説もある。 まあそれはそれとして、何げにギターソロもカッコいい「My Sharona」」を聴いて、ブルースの冥福を祈りつつ、ロック史上最も偉大な一発屋(と言われている)このバンドを湛えたい。 つーコトでここをクリック! ♪まいーまいーまいーまいーやーワォ! ----追伸 ちなみにぃ~ ナックはこの曲の他にも「Good Girls Don't」や「Baby Talks Dirty」などそこそこヒットした曲があり、ハンで押したように「一発屋」と呼ばれるのはハッキリ言って誤解です。 本当の一発屋っていうのはなあ… こういうのを言うんだ!(---次回につづく…) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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