『こうもり』
無味乾燥、精進潔斎とか言っといてナンですが、日曜夜は、ムソルグスキー劇場のチケットを取ってありました。演目はヨハン・シュトラウスのオペレッタ『こうもり』。ストーリーはというと…お貴族の陽気で軽佻浮薄なダンナさまが、法廷で判事を侮辱したために監獄に入らなければならなくなったのに、どこ吹く風で仮面舞踏会に行ってしまう。困った奥方は、彼女を崇拝して言い寄る男友達に身替わりを頼みます。彼(素晴らしくいい声だった)は快く監獄へ、彼女は夫を追って舞踏会へ…(第1場)仮面舞踏会でダンナさまは案の定ご機嫌にやっています。そこへ黒ずくめのドレスに仮面をつけて奥方が登場。でも彼は、妻とは気づかずに言い寄ります。ふざけあううちに、彼女はふと、彼の懐中時計を取り上げます。(第2場)奥方は、身替わりで牢屋に入った男友達の様子を見に、監獄にやってきます。するとそこへ、舞踏会で監獄の所長とそれと知らずに知り合いになったダンナさまが(というのも所長が「劇場のオーナー」と身分を偽ったから)監獄だと知らずに遊びにきます。そうしたらそこには妻が、自分の名前をかたった他のオトコといるではないか。ダンナさまは怒ります。なじります。問い詰めます。奥方はうろたえ、抗弁して、そして最後の瞬間に、舞踏会で取り上げた懐中時計を取り出します。あなた私と知らずに、オンナに言い寄ってたじゃないのよ。立場は一気に逆転。今度は夫が言い訳言い訳…第3場は他にもどんでん返しがいくつもあるので、いちばんおもしろいと言えるでしょう。第4場は大団円。再び舞踏会が催され、皆がひたすら歌って踊りまくる。絢爛豪華な物量作戦を舞台上で展開されて、客席は熱気を帯びずに入られません。いやいや、実によくできた作品でした。ムソルグスキー劇場には日本人の指揮者がいるそうで、そのためか、ロビーの舞台写真には『竹取物語』というものがありました。いずれそういうのも観てみたいですね。