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<1> 儀礼達が遺跡に入り、獅子の目の前で扉がしまった。 「おい! こら! 俺はまだ入ってないぞ!」 獅子は怒鳴る。扉の向こうからひっかかるとかなんとかと言う声が聞こえた。 「出てきたら覚えてろよ!」 「完全に閉まったみたいだ。ごめん、前に来たときはこんなことなかったのに」 獅子の怒りの声に軽い調子の返答があった。ゼラードの声だ。 「どこかに扉をあけるシステムがあるはずだよ。どっちにしろ扉が開かなきゃ出られないし。探してみよう」 遺跡の中を早く見たいのだろう儀礼の声がする。 「気をつけろよ、儀礼。何があるかわからないからな」 「獅子もね。多分何か仕掛けが動いてるはずだから」 儀礼の声音が真剣なものになる。 「俺の心配はいらねぇよ」 言う側から、柱の上にいた石のライオンが動き出す。 翼が生えた、人ほどの大きさのライオン。数は、遺跡の回りに立つ柱の数だけ。つまり、50体程か。 獅子対ライオン。 「いい退屈しのぎになりそうだ」 獅子は口を大きく歪め、笑った。 <2> 次々と襲い掛かってくる石像に、剣を振るい、飛ぶように駆け、獅子は腕試しのように戦う。半数以上の石ライオンを砕いた時だった。 突然、儀礼たちのいる遺跡の中から不穏な気配を感じ取った。 ただごとではない、殺気。 獅子は唇を噛み締めるようにして固く閉じた扉を睨んだ。 遊ぶのをやめ、本気を出してすべての石ライオンを倒す獅子。 しかし、砕けたライオン達が光り、もとの柱へと戻る。 「ちっ、回復するのか。もう一度やり直しか?」 気合いを入れて構えるが、いつまでたっても、ライオン達は動き出さない。自分達より強い相手に逆らわないことにしたようだ。 「……」 獅子は待っている。 「……」待っている。 「……くそっ、終わりかよ、思わせぶりな光り方しやがって」 獅子は剣を構える。 「つまんねぇ……」 儀礼達の入って行った扉を見る。 (あいつ、騙しやがって) 薄茶色の髪をした少年。ただ者ではない強さを感じた。 「本当に動かないのか?」 手近なライオンを一つ剣で突いてみる。 ライオンの頭を冷や汗が伝う。 選択 1.戦う(剣で破壊) 2.逃げる(削除) 3.スペシャル(この苛立ちを八つ当たりにしてぶつける) 獅子はニヤリと笑った。 「三番で」 獅子が剣を持ちかえ走り出した時だった。 テロップ ライオン達は逃げ出した。 ライオン達が次々に羽ばたき、空へと旅立って行く。 「経験値ハイラネェじゃねぇかぁ!」 獅子の叫びがどこか懐かしげに響いた。 千夜 作2008年6月30日 (2012年10月31日改)ギレイ目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.11.03 16:56:22
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