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千夜の本棚 ネット小説創作&紹介

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2012.10.13
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カテゴリ:本棚  ギレイ
ギレイ目次
<1>

儀礼達が遺跡に入り、獅子の目の前で扉がしまった。

「おい! こら! 俺はまだ入ってないぞ!」

獅子は怒鳴る。扉の向こうからひっかかるとかなんとかと言う声が聞こえた。

「出てきたら覚えてろよ!」

「完全に閉まったみたいだ。ごめん、前に来たときはこんなことなかったのに」

獅子の怒りの声に軽い調子の返答があった。ゼラードの声だ。

「どこかに扉をあけるシステムがあるはずだよ。どっちにしろ扉が開かなきゃ出られないし。探してみよう」

遺跡の中を早く見たいのだろう儀礼の声がする。

「気をつけろよ、儀礼。何があるかわからないからな」

「獅子もね。多分何か仕掛けが動いてるはずだから」

儀礼の声音が真剣なものになる。

「俺の心配はいらねぇよ」

言う側から、柱の上にいた石のライオンが動き出す。

翼が生えた、人ほどの大きさのライオン。数は、遺跡の回りに立つ柱の数だけ。つまり、50体程か。

獅子対ライオン。

「いい退屈しのぎになりそうだ」

獅子は口を大きく歪め、笑った。


<2>

次々と襲い掛かってくる石像に、剣を振るい、飛ぶように駆け、獅子は腕試しのように戦う。半数以上の石ライオンを砕いた時だった。

突然、儀礼たちのいる遺跡の中から不穏な気配を感じ取った。

ただごとではない、殺気。

獅子は唇を噛み締めるようにして固く閉じた扉を睨んだ。

遊ぶのをやめ、本気を出してすべての石ライオンを倒す獅子。

しかし、砕けたライオン達が光り、もとの柱へと戻る。

「ちっ、回復するのか。もう一度やり直しか?」

気合いを入れて構えるが、いつまでたっても、ライオン達は動き出さない。自分達より強い相手に逆らわないことにしたようだ。

「……」

獅子は待っている。

「……」待っている。

「……くそっ、終わりかよ、思わせぶりな光り方しやがって」

獅子は剣を構える。

「つまんねぇ……」

儀礼達の入って行った扉を見る。

(あいつ、騙しやがって)

薄茶色の髪をした少年。ただ者ではない強さを感じた。

「本当に動かないのか?」

手近なライオンを一つ剣で突いてみる。

ライオンの頭を冷や汗が伝う。

選択

1.戦う(剣で破壊)

2.逃げる(削除)

3.スペシャル(この苛立ちを八つ当たりにしてぶつける)

獅子はニヤリと笑った。

「三番で」

獅子が剣を持ちかえ走り出した時だった。

テロップ

ライオン達は逃げ出した。

ライオン達が次々に羽ばたき、空へと旅立って行く。

「経験値ハイラネェじゃねぇかぁ!」

獅子の叫びがどこか懐かしげに響いた。

千夜 作2008年6月30日   (2012年10月31日改)ギレイ目次





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最終更新日  2012.11.03 16:56:22
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