7月の山を歩くのに厄介なのはスノーブリッジである。
谷間を横切る際、残雪の薄い場所を歩けば底が抜けるのだ。
残雪の下は雪解け水の流れる川なので落ちれば濡れる。
濡れるだけならいいが数メートルの落差の場合は怪我をする。
足元の下からは轟々と水の音がする。
踏み抜かないようにするには雪の表面の色を読む。
やや透明がかった黒色部分は要注意の色だ。
その残雪の縁から下を覗けば緩い鍾乳洞のようになっており
雪からポタポタ滴り落ちる水が集まって川になって流れている。
夜明けに通ったスノーブリッジが下山時には崩れていることもある。
また、雪に埋もれていた枝が突然跳ね起きる時もある。
雪で止められていた岩が突然転げ落ちる時もある。
この季節は自然が仕向けたトラップを見抜く面白さがある。