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カテゴリ:ニュース
■20世紀以降はM9地震の後に噴火
1703年に元禄関東地震(M8・3)が起き、その35日後に富士山が鳴動を始めたのです。さらに4年後には、宝永地震(M8・6)が発生しました。この宝永地震は先に述べたような数百年おきにやってくる「三連動地震」に一つです。 その宝永地震の49日後に、富士山は南東斜面からマグマを噴出し、江戸の街に大量の火山灰を降らせたのです。新幹線の車窓から富士山を見ると、中腹にぽっかりと大きな穴が開いていることに気付きます。これはそのときに開けた火口で、宝永火口と呼ばれています。1707年の噴火は、富士山の歴史で最大級の大噴火でした。 宝永噴火では、直前に起きた二つの巨大地震が、地下のマグマだまりに何らかの影響を与えたと考えられています。たとえば、地震によってマグマだまりの周囲に割れ目ができ、噴火を引き起こしたらしいのです。 マグマの中にはもともと5%ほど水分が含まれています。割れ目によってマグマだまり内部の圧力が下がると、この水が水蒸気となって沸騰します。水は水蒸気になると、体積が1000倍ほど増えます。こうなるとマグマは外に出ようとして、火道を上昇し地表の火口から噴火するのです。 20世紀以後に世界中で発生したM9クラスの巨大地震の後では、近くで火山が噴火しています。いわば、自身に揺すられてマグマが落ち着かなくなってしまった状態です。従って、東日本大震災の後も、国内にある活火山のいくつかが噴火を誘発される可能性は高いのです。 実は、東日本大震災が発生した4日後の3月15日に、富士山頂の地下でM6.4の地震が発生しました。最大深度6強という強い揺れがあり、静岡県富士宮市内では2万世帯が停電しました。この地震の震源は深さ14キロメートルだったため、マグマが活動を始めるのではないかと私たち火山学者は肝を冷やしました。富士山のマグマだまりの天井に亀裂が入ったと考えられるからです。 しかし、幸いその後には噴火の可能性が高まったことを示す観測データは得られていません。と言っても、状況がいつ変化してもまったく不思議はないので、24時間態勢での貴重な監視が必要です。 富士山の過去の噴火史は、古文書を調べることでもわかります。その記述を丁寧に読んでいくと、富士山が平均100年ほどの間隔で噴火していたことが分かってきました。ところが現在、富士山は1707年の噴火から300年間もじっと黙っています。もし長期間溜め込んだマグマが一気に噴出したら、江戸時代のような大噴火になる可能性は否定できません。
今、富士山が大噴火したら、江戸時代とは比べものにならないくらいの被害が出ると予想されています。富士山の裾野にはハイテク工場が数多くあります。火口から出た細かい火山灰はコンピューターの中に入り込み、様々な機能をストップさせてしまうでしょう。空中を舞い上がる火山灰は、花粉症以上に鼻や鼻や喉を痛める恐れもあります。 富士山が噴火した場合の災害予想が、内閣府から発表されました。もし富士山が江戸時代のような大噴火をすれば、首都圏を中心として関東一円に影響が生じ、総額2兆5000億円の被害が発生するというのです。 大地震や火山灰が首都圏を襲う可能性が少なくないことを考えると、東京に集中した機能を早急に分散させなければなりません。東海地震・東南海地震・南海地震の三連動が起きるタイムリミットは、20年を切っています。また、富士山は噴火前に前兆現象を確実につかまえられるとは言っても、1ヶ月ほどの猶予しかありません。 日本列島は至る所に「地震の巣」が隠れており、狭い国土に110個もの活火山があります。地球科学者の視点からは、西日本大震災と富士山噴火が起きるまでの合間を縫って、首都機能のバックアップ体制を早急につくる必要があると思います。たとえば、東日本側と西日本側、また太平洋側と日本海側、北海道プラス九州と本州、というように相補的なバックアップ体制を構築するのです。 首都機能の分散としては、大阪を副首都にするのも一つの方策でしょう。「大阪都」に機能を分散する構想には、かつて首都移転に反対だった石原慎太郎東京都知事も賛成しています。また大阪だけでなく、各地方にバックアップ拠点としての「危機管理都市」をつくり、どこが被災しても日本全体の機能が損なわれないシステムを早急に立ち上げる必要があると私は考えています。(寄稿) 利用者の口コミが良い出会いサイト出会いMAP 逆¥交際倶楽部 アド待ちっ娘 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.04.11 12:24:56
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