ドイツケーキの大きさと横倒しサーブの意味

 
さて、ドイツのケーキは大きいという話。

これは、どこでも、誰がみても、日本と比べたら、確かに大きい。
日本で同じくらいの大きさのケーキをだすところといったら、
なんていったっけ、都内を中心に広がっているあのお店。
ああ、名前が出てこないのでは、お話になりませぬ。

気を取り直し。

家庭で使われるケーキ型をみても、
日本では18センチ型が一般的だが、
ドイツでは最低26センチ、28センチも普通にあり、時々30センチも使われる。
30センチの型はさすがに最近見かけなくなってきたが、
24センチ型はまだ少数派である。

ケーキを焼かない人は何のことだか分からないかもしれません。
日本のクリスマスケーキでよく見かける、16センチ型とか、14センチ型、
こちらでは、クグロフ型のケーキであり得るかもしれないという感じです。

ケーキ型が大きいということは、一切れの長さが長いんです。
そして、1個丸ごとのケーキをどう切るか。
大抵、12等分。

薄いケーキは見栄えが悪い。
第一、お皿に載せたとき、たたないしね。

昨日のケーキ、シュヴァルツヴェルダーキルシュトルテは横倒しだったでしょう?
あれは、重さに耐えられなくて横に倒れてしまうぎりぎりの厚さだったのです。
サーブする時に既に横倒しで、その上に生クリームが添えられていました。

これ、ホテル等の超高級カフェでは絶対やらない。
絶対倒れないように、それなりの厚さに切って、どん!とだす。
のが、お約束。
昨日のカフェは、そういうところ、チョビッとアバウトだが、
そういう味が素人っぽくて堅苦しくないという、店の味なのです。

この、倒れたケーキには言い伝えみたいなものがあって、

@倒れたケーキをもらうと、結婚できない。
@倒れたケーキをもらうと、意地悪な姑さんをもらうことになる。

つまり、いい結婚生活に恵まれないと。

要するに、倒れたケーキは、完璧でないサービスを象徴しているわけで、
これが家庭のお茶で生じた場合には、お恥ずかしいことになる
(今はそんなことありません)。
それを受け取っちゃったあなたも、
完璧じゃない主婦業を引き継ぐことになっちゃうぞという脅しだと私はみています。
まぁ、そういうことを言ったりちゃかしたりすることで、
スモールトークの話題を提供することにもなるわけですが、
きちんとしたお茶会を開く場合、
女主人は、ケーキを倒さないよう、とっても気を遣います。

倒しちゃったら、
最近では、
「あら、結婚しなくて済んでよかったわね」とか
「ま、言い伝えはただの言い伝えだしね」とか、
「私のお姑さんはいいお姑さんだから」とか
お客様の方から、救いのあいの手が入ります。

・・・お姑さんにサーブする際、ケーキを倒しちゃったら?
自分のところにとって、知らんぷりなのかなぁ。
「わたしは素敵なお義母様に出会えましたから」等といって。

怖いのはね、
そういうお茶会のあと、
「そういえば内の嫁は」とか「この間のお茶会、全体としてはよかったけど」
という前置きの下、何処かでケーキを倒したことがぶつぶつ言われているかもしれないこと。

あり得たんですよ。昔はね。

今はどうかな。ハイソな閉鎖社会では存在するかも。
もっとも、ほんとにハイソになると、自分でサーブや料理はしないでしょうが。

それがまたね、中流市民社会(と、そうなりたい、なりたかった人たち)を象徴するドイツケーキ文化の特徴でもあるわけだ。


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まだです。これからです。

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ドイツ・カフェのケーキ・トルテ・クーヘン

ドイツケーキ(トルテ・クーヘン)は甘いか

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