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2005年08月24日
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カテゴリ:海外ミステリ

実直な建築家が朝起きて、自分の家の浴室で見知らぬ男の死体を発見します。
しかも、身につけているものは金縁の鼻眼鏡と金鎖のみです。
いったいこれは誰の死体なのでしょうか?
それで「誰の死体?」という題名です。


作者ドロシー・L・セイヤーズはミステリ黄金時代を代表する作家の一人で、欧米ではアガサ・クリスティーと並んで、今世紀最大のミステリ作家の一人に数えられています。
ところが意外にも日本での扱いは不遇で、1993年に創元推理文庫からピーター・ウィムジイ卿シリーズが翻訳出版されるまでは、なかなか手に入らないという状況だったようです。

これは貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿が登場する一作目の作品ですが、
私は大分前に「ナイン・テイラーズ」だけ読んだことがありました。
そのときは、複数の鐘をあやつり、9時間以上も鳴らし続けることが印象に残って、独特の雰囲気のある話だと思いましたが、シリーズものという意識はありませんでした。

最近このシリーズの順番をたばささんに教えていただいて、第一作から読んでみようと思ったわけです。

主役であるピーター・ウィムジイ卿は公爵家の次男です。
育ちが良くお金持ちで、知性豊かな趣味人。
愛書家で、おしゃべりで、何かと言えば、文学から一節を引用して人に聞かせるという習性があります。
こういう風に書くとなんだか嫌味な人のようですが、全然そんなことはありません。のんびりとした感じの憎めないキャラクターです。
悠々自適で生活の心配がないのが、ちょっとうらやましいです。
そして、犯罪捜査に首をつっこむことが好きらしい。
今回、死体を発見した建築家の母親から事件の解決を依頼された時のはしゃぎようが、おかしくて笑えます。

主役を食う勢いなのが、従僕のバンターです。完璧な従僕であり、探偵助手もちゃんとつとめるし、存在感があります。
ピーター卿の犯罪捜査趣味を、見ぬ振りをしながら応援している母上のデンヴァー先代公妃も、ほのぼのとしていい感じです。
忘れてはならないのがピーター卿の友人でありスコットランド・ヤードの警部パーカー。
ほかにはかたき役の無能警部サグや、探偵趣味を快く思っていない兄のジェラルドもいます。

この作品のトリックは目新しいものではなく、途中で犯人の見当もつくのではないかと思います。
ミステリとしては、そう複雑ではありませんが、おかしみのあるしゃれた会話や人間関係に魅力があります。
そして戦争の後遺症を持つピーター卿の、やさしいまなざしも印象的。

第一作ということは、登場人物たちを紹介するという役目もあると思われますが、これからのピーター卿と周りの人々の活躍が楽しみになりました。


誰の死体?: ドロシー・L・セイヤーズ









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最終更新日  2005年08月24日 18時54分01秒
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