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2006年09月13日
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「誰か」(感想)に続く、今多コンツェルン会長の娘婿である杉村を主人公とする話です。

前回も登場した優秀なシーナちゃんが辞めた後に、すごい倍率を勝ち抜いて採用された女性アシスタントは、仕事ができない、覚えようとしない、注意すると激しく反発するというトラブルメーカーでした。

これだけなら結構どこにでもいそうですが、その後も逆恨みのような嫌がらせはしつこく続き、ついには事件が起こります。

一方、コンビニのウーロン茶を買って飲んだ老人が、青酸カリが混入されていたため亡くなるという事件が起こります。埼玉や横浜でも同様の事件があったため、無差別連続毒殺事件かと思われました。

祖父を奪われた少女が、偶然杉村と出会ったことから、いつしか二つの事件は交差していきます。


前回は八つ当たり気味に吐き出されたような毒に、嫌な思いをしましたが、今回は毒がもっと過激な形をとり、杉村一家を襲います。

自分が悪いことは認めずに、人のせいにしたり社会のせいにしたりする。
最近そんな人が少なくはないと思います。

以前、仕事やボランティアで、放課後の小学生や中学生と接する機会があったのですが、子供たちにさえもその傾向はありました。
寂しさの裏返しであるかのように我がままを募らせ、自分の気持ちはわかってほしいけれど、他人の気持ちを察する事はとてもへたで、うまくいかないことは全部誰かのせいにする。

これからの世の中はどうなるんだろう、と心細くなります。
一体何がいけなかったのか。
「どうして私だけが?」という思いをなくすにはどうしたらいいのか。

じわじわと広がるのは、青酸カリの毒、、土壌汚染、ハウスシック症候群の毒、だけではありません。
ここでは人間の心の内にもある毒のことが書かれています。

事件は解決しますが、自分だって知らないうちに毒を出して人を傷つけているかもしれないという不安は残ります。

あい変わらず、美しく賢く身体が弱く、愛されるために生まれてきたような奥さんと、自分のことを「逆玉の輿」と表現し、金銭感覚等に違和感を感じながらも、多少のことには目をつぶって、家庭第一とする善良な主人公……。
やっぱり絵に描いた一家のようで現実感がない。

そんな風に感じてしまうのも、毒があるせいでしょうか。

ただしこの先、彼が変わる可能性も残されています。やりたいことを見つけてしまった事に、自分でも気づいていると思いますから。

今回希望を与えてくれた存在は、女子大生のゴンちゃんと、いとこのジャーナリスト秋山氏でした。いいキャラクターなので、また登場してもらいたいと思います。

最初から引き付けられ、読ませる作品でありました。



名もなき毒 名もなき毒 : 宮部みゆき










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最終更新日  2007年01月29日 09時24分07秒
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