テーマ:ミステリはお好き?(1445)
カテゴリ:日本ミステリ(あ行作家)
作家・鳥部林太郎は、行方不明になった知人の手がかりを求めて、好事家として名高い桐嶋男爵の邸を訪れる。
折しも、男爵邸では晩餐会が催されていた。 飛び入りで参加する鳥部。 しかしそれは、おそるべき連鎖殺人の幕開けだった。 大正デカダンスの濃密な薫りと漆黒の闇に紛れて、死体は消え、怪人は暗躍する。 「首切り坂」(感想)の続編です。 前作に比べるとぐんと厚さを増し、500ページ以上あります。 それでも前作の雰囲気が結構好きだったので、果敢にチャレンジしました。 最初に怪談風の短い話があります。 なかなか幻想的で雰囲気があるのですが、それがどう本編と関わりがあるのかわからないままスト ーリーは淡々と進んでいくので、ちょっともどかしい。 けれども最初の事件が起こってからはぐんぐん引き込まれます。 洋館で開かれる晩餐会、好事家として有名な男爵、毒殺事件、正体不明の黒頭巾、と怪しさたっぷ りです。 まるでかつての「探偵小説」の趣です。 もちろん科学捜査などない頃のこと、純粋に推理で謎を解き明かしていきます。 頭は切れるが皮肉屋の青年が探偵役ですが、前作とのつながりから彼の登場には驚きました。 次々に忌まわしい事件は起こるし、しかも入り組んでいるし、これらにちゃんと納得いく解決をつ けることができるのかと不安になります。 でも大丈夫、複雑ですが構想はしっかり練られていたようです。一部こんなのあり?という強引な ものもありましたが……。 解決編は結構陰惨だし思わせぶりだし、あまりいい気分ではありません。 最後もぞっとしますが、それを救っているのが若者たちの健全な騒々しさです。 大正時代の世相を感じさせる描写をじっくり楽しみ、雰囲気に浸ることができました。 キルケーの毒草 : 相原 大輔 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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