テーマ:ミステリはお好き?(1430)
カテゴリ:海外ミステリ(タ行作家)
新作を待ち焦がれていた主婦探偵ジェーン・シリーズ第9弾『飛ぶのがフライ』を読みました。
前作から5年たっての刊行です。 ブログ仲間のたばささんと共に、早く続編を~、と叫んだこともありましたが、やっと願いがかないました。 これは1997年に描かれた作品です。 本国ではほぼ1年に1作くらいは出されているので、すでに15作目まで刊行されています。 早く追いついて欲しいものです。 親友のシェリイたちと保護者代表として、サマーキャンプ候補地の下見に、隣州へとやって来たジェーン。 手のかかる子供たちのいない、絶好の骨休めのチャンスだが、キャンプ場に謎の人影が出没したり、複雑な台所事情があったりと、どうにも雲行きは怪しい。 案の定、死体を発見してしまうジェーンだが、その死体が忽然と消えてしまい……。 我が家を離れても事件に巻き込まれる主婦探偵、待望のシリーズ第9弾 このシリーズの主人公、ジェーン・ジェフリイは飛びぬけて美人でもなく、切れ味鋭い頭脳を持つでもなく、霊感が冴えているわけでもありません。 三人の子供と犬一頭、猫二匹に囲まれて、家事にPTAにと慌しく毎日をすごしている、ごく普通の主婦です。 朝子供を送り出すまでの攻防や、くせのある姑に気を使う様子など、主婦のリアル感に満ちていて、そこが大いに共感を呼ぶところです。 さらに、コージーでありながら、ちゃんとした本格ミステリでもあるというのが特徴でもあります。 え~、ただ今回はちょっとミステリ的には小粒という印象でしたが、親友・シェリィとの掛け合い漫才は最高に楽しめました。 少しずつ進展していた「重要な相手」(未亡人だから問題ないんですが、母に恋人が居ることを娘が恥ずかしがるのでこう呼ぶことになっているようですw)であるハンサムなヴァンダイン刑事は、今回出番がなくて残念でした。 けれども、ジェーンも時代に乗り遅れずパソコンを使い始めました。メールを使って事件の相談をするのですが、もちろん甘い言葉のやりとりもあるようですから、まずは順調と言えるのではないでしょうか。 久しぶりに良質のコージーを堪能しました。 このシリーズのタイトルは毎回、有名な小説や映画のタイトルをもじっています。 本作品の原題は「Fear of Frying」。 1970年代にベストセラーとなったエリカ・ジョング の「Fear of Flying」のもじりですね。 これまでのタイトルと元ネタについてはこちらに書いています。 たばささんも書いておられますが、このシリーズの翻訳を担当してこられた浅羽莢子さんが昨年の9月に亡くなられたそうです。残念です。 シャ-ロット・マクラウドの作品やドロシー・L・セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿シリーズの翻訳をされているのは知っていましたが、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『九年目の魔法』、アン・ペリーの『 娼婦殺し』、シャ-リン・マクラムの『丘をさまよう女』でもお世話になっていたことがわかりました。 そんなことを調べているうちに、浅羽さんのブログを見つけました。 「浅羽莢子のFine, Peace!」というタイトル。 SMAPファンならすぐピンときますね。 翻訳という仕事に関する話や、本作のタイトルに関すること、『てるてるあした』の話などもあって興味深かったのですが、カテゴリに木村拓哉というのがあるくらい木村君(木村さんと呼ばれていました)のことについて沢山書いてあったのです。 テレビで木村君を見て一喜一憂するファンだったこともわかり、親しみがわいたと同時に悲しみが増した気がします。 「武士の一分」の公開を楽しみにされていたんですね。 心からご冥福をお祈りいたします。 飛ぶのがフライ: ジル・チャーチル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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