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ミステリの部屋

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2007年03月05日
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第二次世界大戦の最中、町の男たちは兵士として次々と徴用され、人手不足のためグレッチェンは13歳にして少女新聞記者として働き始める。
その直後、友人バーブの母が殺され、バーブの父が容疑者として指名手配された。
バーブの母が夫の留守中に不倫をしていたとの噂を聞くが、グレッチェンには信じられない。グレッチェンは“少女探偵”となって、真相を追うが…純真なヒロインの孤独な闘いを描き出した本格ミステリ。
(「BOOK」データベースより)

キャロリン・G・ハートといえば、ミステリ専門書店「デス・オン・ディマンド」の店主と夫が主役の「アニー&マックス シリーズ」と、元新聞記者で現在はミステリ作家の老婦人をヒロインとした「ヘンリー・O シリーズ」が浮かびます。
どちらもコージーで、私は大好きです。これらの続編も気になっているのですが、今回はノンシリーズで、これまでと較べたら少し重い作品になっています。

舞台は第二次世界大戦中のアメリカの片田舎です。

グレッチェンは記者に憧れる13歳の少女。
戦争で人手不足のため、新聞社で記者として働きはじめます。
朝夕は祖母の食堂を手伝いながら忙しくすごしていた夏のある日、友人の母親が殺され、戦地から休暇で戻っていた父親が指名手配されるという深刻な事件に遭遇します。

噂があっという間に広がってしまうような小さな町。
真実を伝える記事を書いただけなのに仲間はずれにされたりしながらも、家族を思い友人を思い、仕事への誇りさえ持ち始めるグレッチェン。
母親は遠くの工場に働きに行っているため、祖母を助けながら懸命に事件について調べようとしますが、13歳の娘にできることには限界がありました。


月日は流れ、老齢のグレッチェンのもとに届いた一通の手紙から、この作品は始まっています。
彼女が故郷に来て過去を回想する途中に、手紙の一ページがはさまれていきます。
つまりこの作品は現在、過去、手紙という三つの部分から成り立っています。

回想ののちに、グレッチェンは手紙の差出人に会いに行きます。
そこで初めて事件の全貌が明らかになるのですが、私は余り夢中になって読んでいたので、全く伏線に気づいていませんでした。
これはきっとミステリとしても優れているということではないかと……w

地にしっかり足をつけて生きているグレッチェンの姿と共に、苦さも心に残りますが、静かな感動を覚える作品でした。

食べ物や靴なども配給制という戦時中のアメリカの生活をリアルに感じ取ることができるし、そこに暮らす人間たちが丁寧に描かれているのも魅力です。

特に、ドイツ系ということで苦労しながらも家族に愛情を注ぐ働き者のおばあちゃんと、グレッチェンのことを子ども扱いせず記者として認めてくれる編集長デニスが、忘れられない印象を残します。

キャロリン・G・ハートは本書で3度目のアガサ賞最優秀長編賞を受賞しました。

これはおすすめです。


  手紙と秘密 : キャロリン・G・ハート








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最終更新日  2007年03月05日 23時12分55秒
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