テーマ:ミステリはお好き?(1447)
カテゴリ:海外ミステリ(ア行作家)
1935年、英国ダートムーア。
吹雪のため、人々はロジャー・フォルクス大佐の邸に閉じ込められた。 大佐、その妻と娘、ゴシップ記者、アメリカ人青年、女流作家、牧師とその妻、女優、医師とその妻。 やがてゴシップ記者が全員の秘密を握っていることを示唆し、彼への憎しみが募るなか、悲劇が起こる。 密室状況で記者が殺害されたのだ 被害者のポケットには不可解なアルファベットが記された紙片が。 やがてセイウチ髭のトラブショウ元警部が駆けつけ、大佐が重大な告白を始める。 「私の本当の名はロジャー」……ミステリの枠を打ち破る超ミステリ (出版社より) これは2006年に発表された作品ですが、 舞台は1935年の英国ダートムアで、吹雪に閉ざされた山荘に、密室殺人、暗号、とまるで黄金期の本格ミステリを思わせます。 それもそのはず、この作品の原題は 「The Act of Roger Murgatroyd」 「The Murder of Roger Ackroyd」(『アクロイド殺し』の原題) こう並べるとわかりますが、アガサ・クリスティーの名作『アクロイド殺し』へのオマージュとして書かれたのでした。 先に『アクロイド殺し』を読み返しておくべきだった、と気づいた時にはもう読んでしまったあと。すでに遅かったったのですが、内容を覚えていなくても特に問題はありませんでした。 ただ、ミステリ読みへのくすぐりがあちこちに見かけられるので、ミステリをある程度知っている方がさらに楽しめると思います。 著者はイギリスの作家で批評家です。 解説によると、本書を執筆する前の二年ほどで、クリスティーの長篇全六十六冊をすべて通読あるいは再読し、自分がいわば六十七冊目のクリスティーばりの作品を書いてみる気になったとのこと。 とはいえ、密室トリックについては、驚くようなものではなく、日本のある有名な作品を思い出す人も多いのではないでしょうか。 ところが、全体のある仕掛けに気付かず、最後に驚くことになりました。(手がかりはあったのに!) さらに、裏表紙のあらすじを読んだ時からもう企みにはまっていたことも、のちにわかりました。油断できません。 作中に『ビッグ・ボウの殺人』と『黄色い部屋の秘密』のネタバレがありますので、ご注意ください。 ロジャー・マーガトロイドのしわざ:ギルバート・アデア お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月16日 22時57分01秒
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