テーマ:ミステリはお好き?(1445)
カテゴリ:日本ミステリ(や・ら・わ行作家)
春を迎え、奉太郎たち古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。 だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げてきた。 入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は長距離を走りながら新入生の心変わりの真相を推理する! 内容(出版社より) 古典部シリーズ第5弾です。 奉太郎たちも 高校二年生になりました。 誰もが新入部員の勧誘に熱心な時期ですが、古典部はいつも通りのマイペースをくずしません。 それでも、成り行きで仮入部した新入生が一人いて、それが大日向友子でした。 二ヶ月後、そのままうまくやっていけそうな感じだったのに、彼女は本登録直前に、入部をやめると言い、去って行きます。 入部を辞めると告げた時の状況を考えると、その原因は 部長の千反田えるとの確執のように見えます。 奉太郎は、大日向が心変わりをした本当の理由を突き止めようとします。 慰留のために残された時間は、20キロを走るマラソン大会の間だけです。 省エネ主義、とでもいう奉太郎のモットーは、「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」 走りながら謎解きをするとは合理的ですが、去る者は追わずではないところが、省エネとは思えない行動です。 やはり、奉太郎は変わってきています。 記憶を呼び覚まし、過去をたどりながらピースを集め、論理的推理を駆使してパズルを完成させていく過程は面白く、一気に読んでしまいました。 色々な人との距離を測る中で、古典部の仲間たちとの関係が さらに深まっていることもわかりました。 そして、千反田と奉太郎の「ふたりの距離」は微笑ましく感じられます。 人の心の中をのぞくというのは、エネルギーを必要とすることであり、その重さに耐える覚悟がいります。 放っておこうと思わなかったのは、やはり、千反田が誤解され、また自分のせいだと悩んでいたからなのか。 でも、人にはどうしても縮まらない距離もあるのです。 それは後輩との距離、だけではありません。 今は手を伸ばしても、届かない結末もある、ということです。 もしそうなら、どうしたらいいのか。 ほろ苦さをかみしめつつ、奉太郎には思いっきり悩んでほしいと思いました。 ぜひ『氷菓』から順に読んで貰いたいシリーズです。 <これまでの古典部シリーズ> 氷菓 (画像なし) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年10月19日 21時29分06秒
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